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少しずつ手を広げ地域医療を補完する

少しずつ手を広げ地域医療を補完する

山梨県立中央病院 神宮寺 禎巳 院長(じんぐうじ・よしみ)
1981年東北大学医学部卒業。
2015年山梨県立中央病院総合診療・感染症センター統括部長などを経て、2017年から現職。

 県庁所在地・甲府市にある山梨県立中央病院は、640床を有する基幹病院。急性期医療を担い、救急、がん医療などに力を入れる。今年11月には、「精神科身体合併症病棟」を開設予定。救命救急センターに搬送される自殺企図者など、精神疾患と身体疾患を合併する患者への対応力を強化する。

―精神科身体合併症病棟の狙いは。

 当院には現在、精神科の外来はあるものの病棟はありません。県内を見ると、精神科の病棟を持っている総合病院は、山梨厚生病院 (山梨市)と山梨大学医学部附属病院(中央市)の2カ所だけです。

 山梨厚生病院は、精神疾患診療が充実しているものの、重度の身体疾患への対応が困難。もう一方の山梨大学医学部附属病院の精神科病棟は開放型で、不安定な精神疾患を受け入れる病棟ではありません。

 「重症の精神症状に加えて、重度の身体疾患を発症した患者を受け入れられる病棟」の必要性が高まっていました。

 今回、当院が新設する精神科身体合併症病棟は4床。常勤医3人体制でスタートします。これまで、精神科の病棟がなかった病院ですので、初めから無理することはできず、救命救急センターに運ばれてきた患者さんの中で、この病棟での受け入れの対象となる方に対応するというところから始めたいと考えています。

 病棟は、飛び降り防止の狙いもあり、平屋建てにしました。当院は敷地に余裕がなく、現状では、病棟を広げて多くの病床を確保することは困難です。精神症状が落ち着いた患者さんは当院の一般病棟へ移っていただいたり、身体疾患の治療のめどが立った方については、県内の精神科単科の病院に紹介したりといった役割分担のマニュアルづくりも、検討していく必要があると思っています。

―そのほか病院の特徴は。

 救急は、当院の大きな役割の一つです。これから体制をさらに充実させ、全県から患者さんが搬送されてくる3次救急だけでなく、2次救急の患者さんも、よりスムーズに受け入れられるような体制にしていきたいと思っています。

 がん医療にも力を注いできました。2013年4月にゲノム解析センターを開設。遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)やリンチ症候群など、家族性腫瘍に関わる遺伝子検査を実施。院内でゲノム解析ができる体制を敷いています。次世代シーケンサーを5年ほど前に導入し、遺伝子解析に従事する専従職員を3人配置しています。

 倫理的配慮の後に乳腺の予防的切除にも道を開きました。免疫チェックポイント阻害剤や生物学的製剤、分子標的薬も使用。手術支援ロボット「ダビンチ」も導入し、泌尿器科に加え、婦人科、消化器外科、呼吸器外科なども活用し始めています。

―今後の目標や展望は。

 心・血管系疾患の患者さんをもっと受け入れられるようにしたい。そのためにも、まずはハード面の整備が必要だと思っています。

 当院には心臓カテーテル治療ができる部屋が複数ありません。部屋が確保できないことで治療の時間が夜遅くなったり、救急の心筋梗塞の患者さんを受け入れられなかったりといった事態も起きており、心臓カテーテル治療室の増室は急務です。

 また、開心術に代わって低侵襲なカテーテル治療の比率が高まっている中で、ハイブリット手術室も検討したいと思っています。

 脳血管疾患への対応力も強化したいですね。脳卒中発症から、t―PA療法や血栓回収療法の実施までの時間を短縮し、スムーズに早期リハビリテーションにつなげていけるような体制づくりを進め、血管系の分野でも、他県と比べて引けをとらない医療を提供していきたいと思っています。

地方独立行政法人 山梨県立病院機構 山梨県立中央病院
甲府市富士見1―1―1
☎055―253―7111(代表)
https://www.ych.pref.yamanashi.jp/

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