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小児新生児集中治療の教育拠点として

小児新生児集中治療の教育拠点として

東京大学医学部附属病院 小児科
 岡 明 教授(おか・あきら)

1984年東京大学医学部卒業、同附属病院小児科入局、
米ハーバード大学ボストン小児病院神経科研究員、東京大学医学部小児科准教授、
杏林大学医学部小児科教授などを経て、2013年から現職。
東京大学大学院医学系研究科生殖・発達・加齢医学専攻小児医学講座所属。


 東京大学医学部の小児科学教室は、130年の歴史があり、国内で小児科学を興した弘田長氏を初代教授とする。その伝統を受け継ぐ東京大学医学部附属病院小児科では、2017年度から小児医療センターのリノベーションが進められている。小児医療の充実を図る、その狙いとは。岡明教授に話を聞いた。

—小児医療センターの新たな取り組みについて。

 2019年6月に、小児医療センターの小児新生児集中治療部門の小児ICU系病棟が、入院棟Aの2階に移転しました。新生児集中治療室(NICU)は9床から21床に、新生児回復期治療室(GCU)は15床から36床に、小児集中治療室(PICU)は6床から12床に、段階的な増床計画を進めています。

 これまでNICU/GCUとPICUは別のフロアにありましたが、この再編によって、小児新生児集中治療部門として1カ所に集約することができました。
 
 わが国の新生児医療は、長年の諸先輩の努力によって世界的なレベルを維持しており、小児集中治療においても小児病院が中心となって、高い技術を提供し続けています。

 しかし、東京大学をはじめとする国立大学病院では、小児新生児集中治療部門においてハード面での不足のみならず、教育面においても著しく立ち遅れている現状があります。

 そのうえ、小児集中治療医、新生児科医は全国的に不足しています。また、大学医学部で指導者となる人材を育成するシステムも、まだ十分とは言えない状況です。

 そこで当院では、小児新生児集中治療部門を立ち上げて、重症の子どもを救命するとともに、この分野を 担う小児科医の育成に着手しました。

 小児医療センターは、東京都から東部地域の「こども救命センター」の指定を受けています。これまではPICUが6床だったため、受け入れを断らざるを得ないこともありました。しかし、増床したことで、東部地域の小児医療の最後の砦(とりで)として、より地域貢献できるようになりました。

—目指すべき小児医学教育とは。

 子どもは症状を訴えることができず、病状が急変することも少なくありません。経験のある小児科医が必要であり、そのために臨床に時間を取られてしまい、研究に十分な時間がとれないのが実情です。

 しかし、世界基準の小児医学教育を目指すならば、研究者としてのリサーチマインドを持った、いわゆる臨床と研究をつなぐフィジシャン・サイエンティストを育成する必要があります。それが可能となる体制づくりに、今後はもっと取り組んでいきたいと考えています。

 小児科は、臓器別ではなく全身、さらには心までも診なければなりません。また、家族や社会との関わりも考慮するといった総合力が必要です。

 小児科医を目指す学生は、これらのことを小児科の基本トレーニングでしっかりと学んでいきます。その上で、臨床と研究の経験を積んでもらい、フィジシャン・サイエンティストとして、全国の医療機関で活躍してほしいと願っています。

—日本小児神経学会の理事長として。

 日本小児神経学会が対象とする疾患は幅広く、これまでは主にてんかん、脳性まひ、知的障害などをよく取り上げてきました。しかし最近は、社会的にも問題となっている発達障害への関心が高まっています。

 小児科医は、幼児期から発達障害の子どもに関わることが多く、発達障害のスクーリングや相談を受ける機会が少なくありません。

 今後は、療育システムのさらなる充実が必要であり、それに従事する小児科医やメディカルスタッフの体制づくりにも取り組むべきだと考えています。

東京大学医学部附属病院 小児科
東京都文京区本郷7—3—1
☎03—3815—5411(代表)
http://square.umin.ac.jp/ped/

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