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専門性を高め続けるその意欲が発展の力

専門性を高め続けるその意欲が発展の力

日本医科大学放射線医学
汲田 伸一郎 主任 教授(くみた・しんいちろう)

1986年日本医科大学医学部卒業。日本医科大学付属病院、
国立循環器病センター(現:国立循環器病研究センター)などを経て、
2006年から現職。2017年から日本医科大学付属病院病長を兼任。

 各種モダリティ、豊富な医局員数を有する日本医科大学付属病院放射線科。画像診断、読影レポートの作成にとどまらず、他科との連携によるIVR(インターベンション治療)など、幅広い領域で高い専門性を発揮している。多くの専門医を輩出する当医局での取り組みから、「教育のヒント」が見えてくる。

―医局の構成と教育体制について教えて下さい。

 日本医科大学付属病院の放射線科は常勤スタッフ、大学院生、専修医を合わせて45人の体制です。専門医が半数を超え、教育体制の充実を図っています。

 診断モダリティはCT、MRI、SPECT、PETのほか、消化管造影やカテーテル治療を含む血管造影も行っています。検査当日にすべての読影レポートの作成を完了。このマンパワーが当教室の強みの一つと考えています。

 当医局に入局した専修医は、各モダリティや放射線治療といったさまざまな分野を3カ月ごとにローテーションします。同じ疾患でもモダリティごとに診断・治療のアプローチが異なるため、幅広い知識の習得を目指します。

 画像診断には画像情報だけでなく背景にある病態の把握も重要です。各診療科とのディスカッションにも積極的に参加。あらゆるモダリティを活用した総合的な診断能力を磨きます。

 そして次のステップとして、それぞれの医局員が希望する研究テーマに合わせた勤務ローテーションを組み、学位取得を見据えた臨床研究指導を行います。

―放射線科が院内で担う役割は。

 放射線科には、内科的側面と外科的側面があります。検査、読影だけでなくIVRにも積極的に取り組んでいます。外科手術とカテーテル治療を一つの部屋で実施できる「ハイブリッド手術室」で各診療科との連携のもと、多様なコラボレーションを展開しています。

 これまでに、大動脈瘤(りゅう)、大動脈解離に対するハイブリッドステントグラフト内挿術、重症大動脈弁狭窄に対するTAVI(TAVR)、閉塞性動脈硬化症に対するハイブリッド血管形成術などを実施してきました。 

 このような形で放射線科が関与する「ハイブリッド手技」領域は、今後もさらに必要性が増し、広がっていくと考えています。

―今後の放射線科の在り方について、お考えをお聞かせください

 近年、画像検査や読影レポートを巡る問題についてさまざまな議論が交わされています。
 
 正確な読影レポートを作成するには多くの知識と経験を要します。しかしながらマンパワーの不足などによって読影レポートの作成に時間を要してしまい、医師の診察時に提出が間に合わないケースも少なくありません。

 例えば、肺がんの検査において「胸部解離性大動脈瘤」が見つかったとしましょう。読影レポートが十分に確認されなかったために、このような「予期せぬ読影結果」への対処が遅れ、患者さんに不利益を与えてしまう。そんな事例の報告が増加していると言われています。

 当医局ではこうした症例に対して、読影が完了した時点で検査を依頼した医師に電話で連絡します。さらに月末、予期せぬ結果が発見された症例を、診療科ごとにまとめて報告。情報の共有を徹底し、疾患の見逃しを防ぐ仕組みを構築しています。

 画像診断技術の発展に伴い、その検査結果によって患者さんの治療方針が変更されるようになりました。放射線科医はより注意深く読影を行い、主治医や臨床各科と密に連携することが重要だと考えています。

 放射線科の充実は病院経営の側面でも大切です。放射線治療や画像診断管理は出来高算定。医療の質の向上とともに、経営の安定化においても柱の1本であると言えるでしょう。

 今後も当医局をさらに発展させ、より専門性の高い教育に取り組んでいきたいと考えています。

日本医科大学放射線医学
東京都文京区千駄木1─1─5
☎03─3822─2131(代表)
https://nms-radio.jp/

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