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専門性を生かし地域に貢献 人が育ち、人が集う病院へ

専門性を生かし地域に貢献 人が育ち、人が集う病院へ

公益財団法人操風会  
土井 章弘 院長(どい・あきひろ)

1965年鳥取大学医学部卒業、岡山大学脳神経外科入局。
米ペンシルバニア大学、米ブロードストリート病院、
岡山国立病院(現:国立病院機構岡山医療センター)、
香川県立中央病院脳神経外科主任部長を経て、1988年から現職。

 脳・神経運動器疾患の総合的専門病院として長く急性期医療を担ってきた岡山旭東病院が、2015年に地域包括ケア病棟を開設。持続的治療が必要な患者の受け入れも可能になった。数々の挑戦で理念を遂行してきた土井章弘院長に話を聞いた。

─地域医療における役割は。

 1988年に岡山へ戻ってきた当初は、「脳神経外科を開業しても民間の病院では手術などできない」と思っていました。しかし、専門である脳神経外科、同じく医師である弟の専門である整形外科、そこに内科、麻酔科を加えた総合的専門病院として専門性を特化。病院の強み・特色が広く認知されるようになりました。

 現在では、脳神経外科だけでも年間250〜300例ほどの手術を実施。整形外科はさらに多く、年間1800例ほどの手術をしています。専門分野を絞り、特化することこそが、「私たちが地域に貢献できる医療である」と考え、地道に取り組んできました。

 2015年には、地域包括ケア病棟を開設。これまでは急性期を過ぎた患者さんには、退院してもらわないといけなかったのですが、腰痛などの慢性的治療を要する患者さんにも入院していただけるようになりました。さらに地域との連携が進み、クリニックの先生とも非常に良い関係が生まれています。

 当院には、サイバーナイフやPET、CT、MRI、SPECT(脳血流シンチグラフィ)など多様な診断機器があります。そのため、脳腫瘍や脳動静脈奇形、転移性脳腫瘍などの患者さんが、大学病院からの紹介で来られています。サイバーナイフやPETは紹介率が約90%にもなります。こちらも専門性を特化させたことで良い連携が生まれました。
 
 もちろん、私たちにできないことは大学や国立病院機構、日赤や労働者健康安全機構、済生会などの専門の先生にお願いしています。今後はそれぞれの医療機関の特色を生かした連携が重要になってくるだろうと思います。

─働き方改革と「学べる」病院について。

 院長就任後、地域の患者を守るためにも、まずは経営を成り立たせることが大切であると考え、中小企業家同友会へ入り、経営の勉強を始めました。そこから30年超、世間では働き方改革の実施が叫ばれています。医療機関にも同様の波が押し寄せているものの、人手不足の影響もあり、多くの病院が改革への道のりは困難と捉えています。

 しかし、当院では全職種で働き方改革を実行できており、時間外労働の基準もクリアしています。2007年に「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」が策定された時から10年以上をかけて、働く環境を整えてきました。当院には、時間外勤務が月60時間以上の人はいません。2018年の看護師の時間外勤務は月53分でした。事務職でも月7時間。看護師の充足率は100%です。
 
 「学べる」病院として、学習環境を整えました。学会も研修もフリーに参加できます。演題を持って学会に参加すれば、旅費も会費もすべて病院が援助。図書館も整備し、文献も自由に見られるようにしました。

 また経営を学ぶ養成講座などに事務系スタッフだけでなく、看護師や臨床検査技師も勤務時間内に参加しています。経営感覚を持った人を育てる目的だけでなく、教養を身に付け、働くことにやりがいを感じてほしいと思っています。

 2020年度は院長を交代します。今後は健康センターのセンター長となり、人を育てる部分と院内外の環境整備に努めたいと思っています。新しく院長となるのは、長年私と一緒に脳神経外科を支えてくれた、診療統括部長で院長補佐の吉岡純二医師です。

 私は経営の一線から少し退き、海外からの看護師や健康診断に訪れる外国人患者の受け入れに取り組みたいと思っています。

公益財団法人操風会 岡山旭東病院
岡山市中区倉田567―1
☎086―276―3231(代表)
http://www.kyokuto.or.jp/

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