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専門性と総合性を持った小児科医を育成する

専門性と総合性を持った小児科医を育成する


教授(まるお・よしひろ)

1989年滋賀医科大学医学部卒業。
近江八幡市民病院(現:近江八幡市立総合医療センター)小児科、
滋賀医科大学医学部附属病院小児科講師、米カリフォルニア大学サンディエゴ校留学などを経て、
2017年から現職。

 滋賀医科大学小児科は、「専門性と総合性の両立を堅持し、子どものために闘う小児科」をモットーとしている。成長・発達過程にある子どもたちをトータルに診る小児科医をどう育てていくのか、丸尾良浩教授が描く、小児科医のあるべき姿とは。

―特徴を教えてください。

 滋賀県に医学部は一つしかありません。小児科においては、どの分野に関しても質の高い治療が受けられるよう、地域に密着した高次医療機関としての水準を保つのが重要であると考えています。現在、私を含めて34人のスタッフがいますが、それぞれの専門分野や特性を生かして神経・発達、血液・悪性腫瘍、リウマチ・膠原(こうげん)病、救急・集中治療、循環器、新生児、代謝・内分泌、腎臓の各グループに分かれ、非常にバランスの取れた医療体制を整えています。

 代謝・内分泌では遺伝子診断を含めた診療を行っており、腎臓では小児の急性・慢性透析に対応するなど、どの領域においても専門医による適切な診断、治療を実施しています。

 滋賀県の小児科は、滋賀医科大学と大津赤十字病院、済生会滋賀県病院、近江八幡市立総合医療センター、長浜赤十字病院の5施設が小児中核病院として定められ、内科的疾患に関しては、滋賀県内ですべて完結できる仕組みが整っています。

 発達障害については、小児発達支援学部門による専門外来があり、前任で現在特任教授の竹内義博先生をはじめ、特任准教授、特任講師や特任助教など専門スタッフがそろっています。各市町の発達支援センターとも連携し、言葉の遅れや集団生活への不適応、学力の著しい偏りなど認知発達や行動上の問題に対しては、小児発達支援学部門に属する小児科の医師と心理士とで診療に当たっています。

―小児科医と子どもたちとの関係とは。

  長年小児科医としての道を歩み、病気を抱えた子どもたちが大人になっていく姿を見ていくうちに、ただ病気を診るだけでなく、患者である子どもたちに生き方を考えさせることのできる医師を育てたいと思うようになりました。

 医師と患者という長年の付き合いの中で、彼らの進路選択に直面する場面に遭遇することもしばしばあります。「高校を卒業して就職する」という子どもに対しては、せめて専門学校に行くように勧めます。

 例えば糖尿病の場合、20歳を越えると自己負担額が3割になります。糖尿病は月1万、ポンプなどを使うと月2万円、血糖モニタリングを使うと月に3万円。それを50年払い続けると一千万円以上かかります。つまり、彼らは高校卒業の時点でそれだけの負債を抱えていることになります。

 病気を抱えながらも生涯、それを払えるだけの収入を得ていかなければならない。中には働けない患者さんもいます。それを理解し、自分はどう生きるのかをアドバイスすることも必要です。小児科医を目指す学生には、子どもたちの生き方を含めて、社会的な視野を持って接するよう伝えています。

―現在の課題は。

 滋賀県内の小児科医のうち病院勤務医の約7割がここの卒業生です。県内で幅広く活躍しているのはとてもうれしいですね。

 「働き方改革関連法」が施行され、県内の小児医療の再編成と集約化が求められています。人がいるだけではシステムとして成り立たないので、周りの病院との連携をより密にして、地域の基幹病院に人を集め、スタッフが疲弊しないようにしなければなりません。

 2020年から厚生労働省によって小児科医の採用制限がかかることもあり、医師の数が足りなくなることも予想されます。他県から応援も必要になるかもしれませんし、医師の少ない地域との連携も模索しています。

滋賀医科大学 医学部医学科小児科学講座
滋賀県大津市瀬田月輪町
☎077―548―2111(代表)
http://www.shiga-med.ac.jp/~hqpedia/

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