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富士医療圏で初となる緩和ケア病棟をオープン

富士医療圏で初となる緩和ケア病棟をオープン


静岡県富士市中島327 ☎0545―61―4050(代表)
https://www.kawamura-jp.jp/

 消化器疾患を中心に診断から治療、看(み)取りまで行う地域密着型の川村病院。患者の最期に寄り添ってきた経験を生かし、2020年6月、念願の緩和ケア病棟を開設した。経緯や今後の展望について、川村武院長に聞いた。

◎「自分らしい最期を」患者の願いに応える

一面ガラス張りで、中庭を眺める広い廊下

 2020年6月1日にオープンした緩和ケア病棟「」。個室16床、2床室が2部屋。共用フロアは壁一面がガラス張りで、明るい光が降り注ぐ。落ち着いた内装は、美術館ロビーのような趣だ。シンボルツリーのケヤキを中心に造園された中庭には、小川も流れる。共同スペースにはキッチンやテラス、面談室や家族が宿泊できる部屋なども設置した。川村院長は「フロアは室内履きで、廊下も広々。患者さんがリラックスできるよう工夫を凝らしています」と話す。

 緩和ケア病棟開設は、長年の願いだったという。「がんは治せる病になってきていますが、進行がんの患者さんは回復が難しい場合が多く、半分は再発、あるいは亡くなられているのが現状です。多くの方を看取る中で、より満足のいく最期をサポートできないかと長年考えていました」

 緩和ケア病棟開設を目指し、別の場所に建設する予定もあったが、事情により断念。計画を練り直し、今回ようやく実現に至った。新型コロナウイルス感染症の拡大で竣工延期が危ぶまれたものの、無事にオープンすることができ、内覧会には300人近くが来場。地域からの期待の高さを肌で感じたという。

◎静岡県で4カ所目 富士医療圏で初の開設

 緩和ケア病棟が不足している静岡県。「|いまここ|」は県内で4カ所目、富士市と富士宮市からなる富士医療圏では初めての開設となる。「最期は地元で迎えたいという要望を多くいただいています。希望されている方を受け入れられるよう、連携している病院と話を進めています」

 近場なら家族の付き添いや見舞いも負担が少ない。今後高齢化に伴い、がん患者も増加し、潜在的な需要は多く、他の病院からの紹介なども増えてきているという。「地域医療連携室を中心に情報交換を進め、ニーズに応えていきたいですね」

 開設に当たっては、血液内科医として長年、緩和ケアに携わってきた医師が緩和医療部長として入職。副院長とともに常勤体制を組む。非常勤として医療心理学講座の教授も加わり、新たな緩和ケアチームが発足した。

 緩和ケア認定看護師1人を含む病棟看護師は16人。新任者は、心構えや技術を学んでいる最中だという。同時にスタッフのケアも忘れてはならないと川村院長。

 「慣れないうちは特に、気持ちが不安定になることもあります。悩みを共有し、ドクターを交えてフォローし合う体制を整えています」。今後の目標は、ベテランを中心にチーム医療のレベルを上げていくことだと語る。

◎患者や家族が集う「幸ハウス」と連携

 病院の隣には、2018年に開設した「幸ハウス富士」がある。NPO法人を通して運営する、がん患者やその家族の安らぎの場だ。「診療ではなかなか患者さんの胸の内まで聞けません。そこで必要なのがこのような中間的な施設。幸ハウスは、患者さんが不安を癒やし、自分を取り戻すことが目的です。そのノウハウを生かそうと、医師でもある幸ハウスの代表者にも、緩和ケア病棟の運営に参加してもらっています」

川村武院長

 病棟では今、ボランティアも募集中だ。ミニコンサートやお茶会などを企画し、病棟での日々を充実してほしいと考えている。

 「|いまここ|」の前後の「|」は過去と未来を示す。さらには、患者さんの今をここで支えたいという思いも込められている。「一人ひとりの思いに耳を傾け、体と心のケアに最善を尽くしていきます」

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