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寄り添う医療と教育を

寄り添う医療と教育を

山梨大学大学院総合研究部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
教授(さくらい・だいじゅ)
1997年千葉大学医学部卒業。
スウェーデン・カロリンスカ研究所がんセンター、千葉大学医学部附属病院助教、
同大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学講師などを経て、2019年から現職。

 2019年10月に着任した櫻井大樹教授。長く慣れ親しんだ母校を離れ、山梨県へ。これまでの頭頸部がんとアレルギー研究を継続し、「さらに発展を目指したい」と決意。今、考える、これからの教室のあり方とは。

父親と同じ人を助ける道に

 福祉に携わる父親の背中を見て育った子ども時代。大きくなったら人を助けるお医者さんに―、と夢を抱き続けた。「単純にかっこいいなと(笑)。アレルギー性鼻炎や小児ぜんそくでお世話になった先生に憧れました」

 医学生になると、複雑で難しいオペに挑戦したいという思いが募る。脳外科や形成外科も考えたが、結局、自らの病で親しみのある耳鼻咽喉科の道へ。

 「腕を磨いた分だけ患者さんの力になれる」と、地道に手技をマスター。命に関わるがんを診ることで、道を究める覚悟は固まった。「おこがましいかもしれませんが、天職だと思えるようになりました」

頭頸部がんとアレルギーを柱に

 自身が専門とするのは、頭頸部がんとアレルギー。「二つに共通するのが免疫。これを追求したことが、今につながっています」

 大学院では厳しい指導の下、アレルギーの基礎研究に明け暮れた。スウェーデンのがんセンターでは免疫治療の研究にまい進。「第一線で活躍する指導者に恵まれたことが幸運でした。がむしゃらにくらいついていくと、見えるものが変わってきた。大きなターニングポイントでしたね」

 アレルギー性鼻炎の根本的な治療法であるアレルゲン免疫療法。今やその主流となった舌下免疫療法に関しては、千葉大学の岡本美孝前教授とともに研究から臨床への応用、保険診療に至るまで一貫して関わった。教授赴任直前まで、理化学研究所と共同で頭頸部がんに対するNKT細胞を用いた免疫細胞療法の開発にも取り組んできた。

 「こちらでも引き続き、この二つを柱に専門性を高めていくつもりです。教室はこれまでも頭頸部がんとアレルギーの研究を盛んに行ってきており、確固としたベースがある。もっと伸ばせたらいいですね」と、意欲を見せる。

 アレルギーに関しては、山梨県はスギ花粉症の有病率が突出して高く、患者が非常に多い。「それを逆手に取って、発症の原因や、どうすれば早く治せるか、じっくり検証していければと思っています」

望む生き方を尊重

 就任早々の新型コロナ対策で、教室のメンバーへの信頼感は一層増したという。

 「もともとフットワークが良く、チームワークの良い教室です。今回の危機的状況を乗り越えることで、本当の仲間になった感じがしています」

 大切にしたのは、女性医師が多い分野だけに、男性も女性も働きやすく、中堅が良きリーダーとしてグループをまとめ、力を発揮できる環境づくり。

 「臨床、研究、それにキャリアの展望などをフランクに話し合える場をグループごとに設け、今、実践しているところです」。願いは、おのおのが人生のプライオリティーを大切に活躍してくれることだという。

 個人の生き方を尊重したいという思いは、患者から学んだことでもあると櫻井教授。医師側が「良かれ」と思って治療を進めても、患者はそうは思わない場合は往々にしてある。

 「がんの治療が多かったので、大変な思いをされている患者さんを診てきました。患者さんが最終的にどうしたいのか、その思いに寄り添える、患者さんに生き方に合わせた治療を考えていきたいと思っています」。相手の気持ちに寄り添い、進むべき道をともに探っていきたいと語る。


山梨県中央市下河東1110 ☎055-273-1111(代表) 
http://ent.yamanashi.ac.jp/

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