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定着率を高め、強い組織に!「採用」のポイントを聞く

定着率を高め、強い組織に!「採用」のポイントを聞く

医療法人真鶴会 小倉第一病院 立石 隆 経営戦略部部長(たていし・たかし)
1998年大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社。
人事部を経て人事系コンサルタントとして活動。
その後、医療法人の人事部責任者や検診センター事務長を歴任。
2008年に医療機関のHRM(人的資源管理)の構築支援を中心とする
株式会社HRシンフォニーを設立、現在に至る。

 いい人材を採用できない、離職率が改善しない―。そんな悩みをもつ病院は少なくない。小倉第一病院ではさまざまなプロジェクトが進行中。その中で採用戦略を手掛ける人事コンサルタントの立石隆経営戦略部部長に、医療機関が心がけるべきポイントを聞いた。

―小倉第一病院との関わりは。

 経営コンサルタント会社や企業の人事部を経て、採用、教育、評価に関する人事系コンサルタントへ。愛知県の病院では、人事部立ち上げのスタッフ、人事課長職、検診センター事務長職などを経験しました。

 8年ほど前、中村秀敏理事長・院長から「抜本的に採用の仕組みを見直したい」と依頼があり、当初は外部スタッフとしてお手伝いすることになりました。

 まずは、採用プロジェクトチームを編成。看護師、臨床工学技士、管理栄養士、介護福祉士、事務といった複数の職種から抜擢。第2期からは理学療法士も加わって活動しました。「この病院に職員を集めるためにどうするか」「チームでどうやって情報を発信していくか」をメンバー全員で考えました。

 例えば、管理栄養士の立場から見た看護師との連携、期待していることなどを学生に説明するようにしました。「どのような職員が集う病院なのか」を伝える。その取り組みを通じて自分たちの病院の魅力を考えていくことで、他の病院との差別化を明確化する。そうして採用の仕組みを作り上げていきました。

 採用プロジェクトチームのメンバーは2年ごとに交代します。現在は第4期チームが活動中。第1期のメンバーがとても頑張ってくれた結果が、現在の安定した採用につながっています。

 また、プロジェクトで学んだことが院内各所に還元され雰囲気がより良くなっていると実感しています。

―人事コンサルタントを活用するメリットは。

 他院の成功事例が、必ずしも自分たちの病院にも当てはまるとは限りません。

 医療の世界は差別化が難しい面があるのも事実です。自分たちの病院の魅力を適切に把握できていないことも少なくないため、学生に情報がしっかりと届いていない状況があります。

 理由として多くの病院が「採用・教育・人事考課」といったヒューマン・リソースの対策が不十分という点があります。どの病院も職員を集めたいという思いはあるのですが、集める方法が分からず、人材紹介会社に頼る。そんなケースも多いと思います。

 ただ、人を紹介してもらうだけでは解決しない人事課題もあります。そのような場合に私は、採用と同時に定着や組織の風土の改善を推進することがあります。

 何が問題で定着できないか、10の病院があれば10の理由があります。当院はもともと定着率と風土がよかったので、私は人を集めることにフォーカスでき、成果も出しやすかったと感じています。

 新しいことにチャレンジしにくく、プロジェクトチームを組みにくい病院は苦戦している印象です。職員がどう成長し、将来どのような活躍を期待するのか。一連の人事戦略として、採用を考える必要があると思っています。

―課題に気づくには。

 私が12年前に愛知県の病院の採用の責任者を務めていた頃、九州は看護師採用の重要なエリアとして認識されていました。

 九州の看護学生たちは、とても仕事に熱心で離職も少ない。そんな高い評価を得ていたため、東京や名古屋、大阪などの病院が遠征してきて、大量に採用していったものです。

 このエリアには優秀な人材が多くいます。採用がなかなかうまくいかない、人が定着しないという時には、「院内に起こっている問題が何か」をしっかりと考えるべきだと思います。

 たった一枚の歯車だけを動かそうとしても、他の要因とも関わり合っているのですから、回るわけがありません。

 自分たちの病院の魅力を把握してアピールすることができれば、いい人材を確保できる確率が高まるでしょう。病院の規模にかかわらず、いい病院であれば、必ず人は集まります。

Q.人事コンサルタントを軸にした採用活動の効果は。

医療法人真鶴会 小倉第一病院
中村 秀敏 理事長・院長
(なかむら・ひでとし)

A.採用プロジェクトチームは、入職5年以内を中心としたフレッシュなメンバー構成としました。病院の良さを一生懸命伝えることは、自分自身が病院の良さを再認識することになります。また本来の業務へのフィードバックにもなり、先輩や後輩、多職種連携がこの活動によって強くなりました。

 定着率は、昨年度は看護師の離職が3人。総数が70人なので5%未満です。看護師の新人は6人全員が辞めずにいます。福岡県の看護師の平均離職率が15%ほどなので、定着率は順調です。

 立石部長には当初、採用に関してだけをお願いしましたが、実績に応じ若手管理職の育成、2021年の病院移転に向けてのプロジェクトマネージメントなどを次々と依頼。医療職でない、客観的な立場でのアドバイスに、大変助かっています。新病院が目指すのは「透析に行くのが楽しみになる病院、出勤するのがワクワクする病院」。透析室と病棟との動線をスムーズにするなど、患者さんを支える工夫を考えていきたいと思っています。

医療法人真鶴会 小倉第一病院
福岡県北九州市小倉北区真鶴2―5―12
☎093―582―7730(代表)
http://www.kdh.gr.jp/

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