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安定した医療提供 常勤医の確保を目指す

安定した医療提供 常勤医の確保を目指す


院長(くめ・しゅういち)

1988年熊本大学医学部卒業。
済生会熊本病院、健康保険人吉総合病院(現:JCHO人吉医療センター)、
熊本市立植木病院副院長などを経て、2015年から現職。

 〝一粒の米が千の穂となった豊かな国〟の神話を町名の由来とする高千穂町。山深いこの町の中核病院として、住民から厚い信頼を寄せられている高千穂町国民健康保険病院。久米修一院長に、現状と今後の病院運営を聞いた。

―経営状況は。

 2019年の急性期病棟の病床利用率は対前年比2・3%増の86・5%、療養病棟は同11・9%増の73・4%。これに伴い病院の総収入が増加し、赤字分が少なくなりました。

 最大の要因は医療スタッフの頑張り。2019年に着任された2人の医師が患者さんの信頼を得ていること、そしてすべての医師を含めた病院職員の日々の努力の積み重ねが、結果につながったと思います。

 当院は、中核病院として住民のニーズに応えるべく、幅広い診療科がありますが、実は常勤医が少ないことが課題になっています。

 非常勤医は、すぐ隣の熊本県から、消化器外科、循環器内科、脳神経内科、泌尿器科、皮膚科、眼科、耳鼻科に応援に来ていただいています。交通費がかかるため赤字覚悟ですが、国保病院が果たすべき〝住民が住み慣れた場所で安心して暮らせる〟理念の実現を目指すために、そこは尽力したいと思います。

―町内で新型コロナ感染者が確認されました。

 経緯はこうです。2020年3月、宮崎県で2例目、3例目となる新型コロナ感染者を確認。感染者対策委員会を当院に設置して現状の把握、今後の運営、職員の行動制限、風評被害対策など検討する中、職員の1人が濃厚接触者として2週間の自宅待機になりました。

 患者さんの発熱原因がインフルエンザとも考えられ、そのための検査を行ったのですが、その際、マスクはしていましたが、防護服を着用しなかったのが原因です。職員は陰性が確認され職場復帰しましたが、大きな反省点となりました。

 7月には外来窓口を訪れた患者さんが、他地域で確認された感染者の濃厚接触者であることが判明。救急外来で呼吸状態がいきなり悪化しました。内科医2人で、ビデオ喉頭鏡や鎮静剤を使用しながら気管挿管し、感染症指定病院に搬送しました。

 同様のケースは今後も起こる可能性があることから、私を含め全医師がビデオ喉頭鏡を用いた挿管のトレーニングを行いました。これらの経験が教訓となり、秋冬のさらなる感染拡大が心配される中、住民が不安を抱かない体制を、さらに整えたいと思います。

―今後の病院運営は。

 常勤医が多少なりとも増えており、この状態をできるだけ維持し、診療の充実に努めたいと考えています。しかし、常勤医の中には地方勤務を行うことが一定期間、義務づけられた自治医科大学出身のローテーターも含まれ、それらの先生は、いずれ移動します。

 当院に長く勤務してもらえる〝定着医〟の増加に努めることが、重要なテーマだと考えています。その一環として、勤務しながら専門医の資格が取得できる院内体制を整備しています。

 自治医科大学出身の先生は、地方の病院で勤務している間、専門医養成プログラムに参加できないことがあります。その点に考慮した措置です。具体的には、宮崎大学の総合診療専門医研修プログラムや、新・家庭医療専門研修プログラムの連携施設に当院が参加して、各専門医の取得を可能にしています。

 また、高千穂町の医療体制の充実を目的に町が支援する「医師修学資金貸与制度」も実施されています。西臼杵郡出身を条件に、当院勤務の意思を持つ医学生に対して、6年間を限度に修学に必要な資金を貸与。当院で3年間勤務すると、全額免除になります。

 地域医療を担いたいという熱い心を持った医師が、少しでも増えることを期待しています。

高千穂町国民健康保険病院
宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井435―1
☎0982―73―1700(代表)
http://takachiho-hp.jp/

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