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安全で質の高い医療を提供し続けていく

安全で質の高い医療を提供し続けていく

独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター 長谷川 好規 院長 (はせがわ・よしのり)
1980年徳島大学医学部卒業。
米カリフォルニア大学医学部ロサンゼルス校研究員、
名古屋大学大学院医学系研究科病態内科学講座呼吸器内科学分野教授などを経て、
2019年から現職。

 5月、高度急性期医療の提供、臨床研究の推進などを積極的に展開する名古屋医療センターの院長に就任したのは、名古屋大学呼吸器内科学分野の教授を務めた長谷川好規氏。「歴史ある病院の強みをさらに伸ばせるよう努めたい」。これまでの経験をどうプラスするのか。思いを聞いた。

文化祭で「理系」に

「当時はまだ画像診断が今ほど進んでいなかったこともあって、私のイメージだと外科医は現場での決断の連続。それよりも、さまざまな情報を収集し、推論を組み立て、結論を導き出す。そんな内科医の方が向いているのではないかと感じたのです」

 各科を回った結果、かねてから関心があった呼吸器の領域を選んだ。

 岐阜県八百津町の出身。親や親戚に医師はいない。少年時代は法律あるいは経済学者として、大学に勤務することを思い描いていたという。「規(範)を好む」と名付けたように、親は法律家としての将来を想像していたようだ。

 高校の文化祭で岐阜市内の中心を流れる長良川の水質や健康との関わりについて調べた。このとき「理系の自分」が目覚めた。

 友人が公害問題に詳しい識者に、データの提供を依頼した。「自分たちでコツコツ調べなさい」と諭された。「信頼できる情報を自分で集めることの大切さを学んだ」と振り返る。

医療安全の推進に奮闘

 大切にしてきたのは「挑戦する心」だ。今回の院長就任についても「いい機会をもらった」と語る。

 30年以上を過ごした名古屋大学では、後進の育成や新たな治療法の開発などに取り組みつつ、組織改革でも重要な役割を担った。

 その一つが医療安全だ。名古屋大学医学部附属病院で起こった医療事故をきっかけに、2002年、同院内に医療安全を管理する部門が立ち上がった。そのメンバーの一人として長谷川氏に白羽の矢が立った。

 「医療安全に対する取り組みは、診療科ごとに異なる部分もあった。情報を共有し、一体化した組織として病院が機能するよう、体制の整備を進めました」

 患者と医療者間の、より強い信頼関係の構築が欠かせなかった。どのような方針で、どんな治療を進めていくのか。丁寧な説明を徹底し、患者の理解が深まるよう努めるなど、「患者も参加するチーム医療」の実現を目指した。

存在意義はどこに

 「安全で質の高い医療」については、もちろんここ名古屋医療センターでも追求していくつもりだ。

 同院が掲げる理念も「病む人の立場に立って、安全でより質の高い医療を提供します」。歴代の院長や数多くの職員たちが築き上げてきた土台の上に「医療安全や感染制御といった世界では、どんどん新しい知識が発信されている。それらを取り入れながら、さらに上のレベルを目指したい」と意欲的だ。

 こうした取り組みは主に医療者が担うものだと思われがちだが、「それだけではうまくいかない」と長谷川氏は強調する。

 例えば研究者も、事務職も、清掃のスタッフも、どの職種であっても「患者にいい医療を提供したい」「快適に過ごしてほしい」との思いが根底にある。「医療機関で働くすべての人がそれぞれの役割を果たしてこそ、医療の安全と質を引き上げることができると思います」

 また、肺がんに対する分子標的薬治療の研究などに力を注いできた経験から、「名古屋医療センターの特徴である臨床研究も一層の推進を図りたい」と語る。

 院長となって地域医療や政策医療との関わりが増えた。社会が大きく変わりつつあることを、ますます実感しているという。高齢者の割合が高まり、人口は減少。医療機関が向き合うべき課題は多い。「自分たちの存在意義は。常に問いかけなければならないと思っています」

独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター
名古屋市中区三の丸4-1-1 ☎052-951-1111(代表)
https://www.nnh.go.jp/

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