九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

学内外との〝対話〟 をより良い医療につなげたい

学内外との〝対話〟 をより良い医療につなげたい

   盛武 浩 教授(もりたけ・ひろし)
1993年宮崎医科大学医学部(現:宮崎大学医学部)卒業。
九州がんセンター、米セントジュード小児研究病院などを経て、2017年から現職。

 開業医の高齢化に伴い、近い将来、小児科医不足が懸念される宮崎県。小児医療を維持・強化していくためにどうすべきか。積極的に若手医師の確保に取り組み、知識や技術だけでなく、柔軟なコミュニケーション能力を備えた小児科医の育成を目指す宮崎大学小児科学分野、盛武浩教授の戦略は。

―宮崎の小児医療の現状について教えてください。

 小児科医の高齢化に伴い、県央にある人口3万人規模の自治体では、小児科医が1人もいなくなるという危機が、すぐそこまで迫っています。県内人口の35%を占める宮崎市では、一時的ながら、夜間の小児科診療体制が維持できなくなる可能性もありました。

 地域医療を守るために、医師の育成・確保が急務とされ、宮崎市、地元医師会、宮崎大学の協議・連携により、昨年の11月1日に寄附講座である「宮崎小児地域医療学・次世代育成支援講座」が開設されました。

 その主な目的は、小児疾患医療に関する研究を通して、小児医療に関心を持つ学生の教育や、次世代を担う若い小児医の人材育成を進めること。さらには、地域の小児医療体制の充実を図り、小児地域医療に貢献していくことです。

 この寄附講座で、1人の事務員と2人の医局員を雇用。県央地区の夜間小児救急の要である宮崎市夜間急病センター小児科へは、これまで毎週日曜、月曜と祝日に宮崎大学医学部の医師を派遣してきましたが、講座開設によって、火曜日も派遣できるようになりました。今年4月には、済生会日向病院の小児科医を増員します。それによって、同院で小児患者の入院が可能になることも、新たな一歩です。

 これらの取り組みは、夜間救急医療体制の強化につながったり、地域の2次医療機関へと専門性の高い医師を送り込んで小児地域医療の充実を進めたりする、大きな足がかりとなっています。

―教室運営で心掛けていることや教室の特徴を。

 教授就任以来、入局する医師は増えており、現在は、21人が大学に在籍。次年度は5人が入局予定です。

 医局のモットーは、「和と切磋琢磨(せっさたくま)」。そのために最も大切にしているのは、スタッフ同士のコミュニケーションです。

 患者さんの全身をみる必要がある小児医療では、さまざまな角度から横断的に診察し、専門性を越えた総合的なチーム診療が求められます。そのため、スタッフ同士が、事務的にならず、日ごろからお互いの事情や気持ちを分かり合える関係を構築しておくことが、とても重要です。

 今年、大分大学医学部小児科学講座の井原健二教授と「東九州小児医療研究会」を立ち上げました。医局員と関連病院の先生方が集まって大学ごとに野球チームを編成。まずは野球で楽しく汗を流し、そのあとに温泉につかり、リラックスした上で、研究発表や意見交換をしながら、情報を共有します。

 医療現場を離れ、リラックスした雰囲気で開く会合は、コミュニケーションにとても効果的で、個々人の相互理解につながると感じます。深い人間関係の構築が、より良い医療に結びついていくのではないでしょうか。

 また、他大学と定期的に交流することは、各大学が指導や研究のヒントを得る貴重な機会になりますし、医局内の刺激にもなると思われます。

 地方の臨床現場では、専門分野を越えて、オールマイティーに医療に携わる必要があります。そこで、当医局のメンバーには、まずは、小児科専門医を取得した上で、サブスペシャルティ領域を二つ以上持つように促しています。

 現在は、小児精神分野と小児アレルギー分野を専門とする若手医師がいないのが課題です。この二つは今後、患者さんが増えるであろう分野です。育成に、積極的に取り組んでいきたいと思います。


宮崎大学医学部  発達泌尿生殖医学講座  小児科学分野
宮崎市清武町木原5200
☎0985―85―1510(代表)
http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/pediatrics/miyazaki_ped/

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