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子の未来、安心の救急 ワンチームでかなえたい

子の未来、安心の救急 ワンチームでかなえたい

独立行政法人国立病院機構
田中 滋己 院長(たなか・しげき)

1981年三重大学医学部卒業。
国立小児病院小児医療研究センター、米ペンシルべニア大学医学部留学、
三重大学医学部、三重中央医療センター副院長兼臨床研究部長などを経て、
2019年から現職。

僕らは〝一見さん〟

 「小児科医を目指したのは、単純に子ども好きだったから。同時に細かい作業が得意で、実験したい気持ちも強かった」と話す田中滋己院長。大学院時代は、昼は臨床、夜は実験漬けの日々を送った。

 教授に勧められて赴任した小児医療研究センター(現:国立成育医療研究センター)では、内外の研究者に大いに刺激を受ける。3年半の米国留学で、さらに視野は広がった。「いいところも悪いところも見た。若い感性には響きました」

 大学へ戻った後、今の病院の臨床研究部へ移ったのが21年前。「ボスからたたき込まれたのは、人のつながりを大事にしろ、関係は持てるだけ持て、ということ。それが今に役立っています」

 一人の小児科医として、大事にしていることがある。「小さい子は自分で訴えられない。そんなとき頼りになるのは、微妙な変化を感じ取っている親御さんの勘。診察して『何もないんじゃないか』と思えても、お母さんたちの言葉一つひとつを誠実に受け止めようと心掛けています」。「僕らはその子にとって〝一見さん〟なんだから」とほほ笑む。

新生児の発達 県唯一の受け皿として

 2013年に市立四日市病院が2カ所目に指定されるまでは、県で唯一の総合周産期母子医療センターだった。現在も、NICU(新生児集中治療室)の規模や医師数は県内トップ。   
 三重大学と国立病院機構三重病院とともに、3病院連携で小児医療を担う「三重こどもメディカルコンプレックス」では、主に新生児と発達の領域を担当する。「ハイリスクと分かった時点で母体搬送する例が増えたものの、動くNICUである『すくすく号』の稼働もいまだ年間100件ほどあります」

 三重大学の連携大学院として、新生児科医育成の役割も持つ。「NICUでは常時7人程度の専門医が働いています。トレーニングの場としても活気がありますね」

 さらに、出生後からの発達を診る唯一の施設でもある。「NICUで治療する新生児の育ちをどうサポートするか。考え、実践するのがわれわれの仕事。県全域から受け入れているのでパンク寸前ですが、ニーズに応えられるようパフォーマンスを上げながらやっていきたいですね」

一丸となって困難に立ち向かう

 今、最も危機感を持っているのは救急医療だという。 「津区域にある総合病院は大学病院とうちだけ。2次救急の輪番はあるものの、例えば多発外傷などは総合病院でないと対応が難しい。大学病院にはより高度な救急が求められる中、2次救急はうちがしっかりバックアップできればいいのですが、実際にはキャパシティー的にも難しい状況です。そこをどう突破するか…」

 改善策の一つが、4月に締結された三重大学との協定。救急体制についてもさらに連携を強めたい構えだ。「救急隊が10カ所電話しても搬送先が決まらない例が年間50件ほどあると聞きます。本当にみなさん、困っている。具体的な対策はこれからですが、話し合いを進めて少しずつ良くしたいと思っているところです」

 経営も厳しい状況に面している。「2018年少し赤字が出まして、2019年は拡大が見込まれます。今後、分析を進めて改善計画を立てます。国立病院機構本部やグループのコンセンサスを得ながら、地道に課題を解決していくしかない。まずは病院がワンチームになる。そこからだと思っています」

独立行政法人国立病院機構
三重県津市久居明神町2158―5 ☎059―259―1211(代)
http://www.miechuo-hosp.jp/

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