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女性医師の働き方 やりがい両立実現へ

女性医師の働き方  やりがい両立実現へ


教授(だいにち・てるき)

1996年徳島大学医学部卒業。
九州大学病院皮膚科助手、久留米大学医学部皮膚科学講師、
京都大学大学院医学研究科皮膚科学准教授などを経て、2020年から現職。

 全身に起こる多様な疾患を扱う皮膚科。香川県の皮膚科医療を支える香川大学医学部皮膚科学は、大日輝記教授の就任を機に新たな一歩を踏み出した。大日教授に抱負を聞いた。

炎症なぜ起きる?原点への関心が力に

 これまで取り組んできたテーマは多岐に及ぶ。2009年、新しい自己免疫性の水疱症の抗原を同定。「抗ラミニンγ1類天疱瘡」という新たな疾患として、報告した。美容領域のにきび治療では12年、治療法の一つのケミカルピーリングについて、患者にどちらが本物の薬か偽物かを知らせない二重盲検という手法を用いて世界で初めて医師主導の多施設試験を行い、治療に効果があることを示した。

 表皮と炎症に関する研究が長年のテーマ。四肢などに発疹が出る乾癬について、発症と症状の持続に表皮の細胞内シグナルが欠かせないことを動物モデルで証明した。「さまざまな皮膚炎がなぜ起きるのか。症状が続くのはなぜか。そんな原点に強い関心があります」

現象を「目の当たり」皮膚科の魅力

 出身地である徳島大学医学部に進学し、同大大学院医学研究科では、生命の神秘を感じられる自然科学への憧れから寄生虫学教室で感染免疫を学んだ。

 修了時、教室を主宰する教授から、教授の母校である九州大学の皮膚科を勧められた。皮膚科と免疫学は深い関わりがあり、「これまで学んできた基礎を臨床で生かせる」と皮膚科に進むことを決めた。

 これまで水疱症や脱毛症を専門とし、診療と研究に励んできた。内科などと異なり、疾患の現象を文字通り「目の当たり」にできるのが皮膚科の大きな特徴だ。「目の前で起きている現象をいかに捉え、新しい概念や手だてを提案していけるか。そこに一番のやりがいを感じます」

 同時に、臨床に取り組むことの難しさも感じており、そんな時は古代ギリシャの医師・ヒポクラテスが残した言葉に触れ、支えにしている。

 教室では、皮膚炎の種類はどのように決まるかを研究している。若い頃はにきびができたのに大人になるにつれてできなくなる理由や、なぜアトピーになるのかといった疑問の解明にもつながる皮膚科学の大きな謎だ。これまでは免疫細胞のタイプが病気を決めると考えられてきたが、この細胞以外の関与が次第に分かってきたという。体表の微小環境が皮膚炎の種類を決めると考え、新たな概念を国際学術誌に発表した。

働き方改革 解決へモデル示す

 教授に就任して1年。早急に取り組むべき大きな課題は、医師の働き方改革だと考える。「皮膚科は、日本では、全診療科の中で女性医師の比率が飛び抜けて高い。他の診療科に先駆け、男女の機会均等、働き方の課題に直面しています」

 皮膚科を専門とする女性医師の夫の80%は医師とのデータがある。顔が見える関係を保てる病院の規模で、医療圏もコンパクト。「一人の医師や一つの診療科、病院では解決しづらい問題だが、本診療科が取り組みをリードし、全診療科の共通モデルとなる仕組みを提示できたらと思います」

 女性も男性もやりがいを持って働ける教室を目指しており、「ただ単に『働ける』だけでなく、キャリア形成促進のために責任が伴う業務をフェアに任せます」

 自身も家族との時間を大切にしている。自宅から近い国特別名勝「栗林公園」の庭園を妻や子どもとゆっくり散策するのが息抜きだ。「バランスの取れた人生を送るためには、家族の理解は欠かせませんから」。入園の年間パスポートを購入したのも、「教室の働き方改革を必ず実現させる」との強い決意の表れかも知れない。

香川大学医学部皮膚科学
香川県三木町池戸1750ー1 ☎️087ー898ー5111(代表)
https://www.med.kagawa-u.ac.jp/faculty/center/igaku_kouza/hifu/

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