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奈良県で初めての 陽子線治療センター開設

奈良県で初めての 陽子線治療センター開設

社会医療法人 高清会 高井病院 
高井 重郎 理事長・院長(たかい・しげお)
1972年日本医科大学医学部卒業。松下病院(現:松下記念病院)外科、
京都府立医科大学第一外科(現:外科学教室消化器外科学部門)などを経て、
1976年から現職。

 奈良県北部に位置する天理市で救急医療やがん医療を中心に、地域の中核病院としての役割を果たす高井病院。高井重郎理事長・院長は新たな医療機器を積極的に導入し、最先端の医療の提供に尽力する。2018年4月、病院に隣接して県内初の陽子線治療センターを開設。現状について聞いた。

―陽子線治療施設は県内初です。導入の狙いは。

  低侵襲な治療で、できるだけ患者さんにとってストレスのない医療を提供したいというのが私の基本的な考え方です。

 がん治療は、手術療法、化学療法、放射線療法が中心です。放射線治療の進歩は低侵襲治療に大きく貢献していると考えます。

 陽子線を利用することで従来の放射線治療と比較して副作用の少ない治療が期待できます。10数年前から陽子線施設の導入を検討していました。高齢者のがん治療も増えていますので体に負担のない治療であることは大事な要素です。

 センターは保険診療、先進医療の実施施設としての許可を得ることもできました。前立腺がんについては保険適用になり、経済面でも安心して治療に専念出来ると思います。治療対象は前立腺がんのみならず、肝臓がん、肺がんなどの治療にも広がっています。

―昨年9月、本格的に治療がスタートしました。

  前立腺がんが、延べ人数で約45人、他のがん種も含めると延べ人数は約60人になります。年間約200人を目標としています。

 がん治療の内訳を見ると、日本は欧米に比べると放射線治療の比率が低いのが現状です。放射線治療の良さを患者さんはもちろん、地域の開業医の先生方に知ってもらうことも必要です。セミナーなどを開いて情報を発信する努力を続けなければと思っています。

 がん治療の成績が上がることで、当院の医療の質も上がる。同時に奈良県の医療に、多少なりとも貢献できるかもしれません。

 当院としては治療での活用と共に、「陽子線治療ができる高井病院」として知名度が上がることで、医師確保にもつながることを期待しています。

―陽子線治療センターの特徴は。

  約10年前と比較すると、治療施設が格段にコンパクトになりました。小型化によって病院敷地内に建設が可能でした。

 当院の治療施設は、住友重機械工業製を採用。同社4号機ということで、早くから他施設の見学や研修を行ったことで、より使いやすい機器の導入ができました。

  特徴の一つは、照射室に隣接してインルームCTを導入。デジタルエックス線装置も合わせて二つの画像システムを取り入れて、より精度の高い位置合わせが可能です。照射までの時間も短くなり、患者さんの負担が軽減されます。

 また、ワブラー照射法、ラインスキャニング照射の2種類の照射方法が可能です。臓器によって照射法を変えて適切な照射を実施します。機器を交換することなく短時間での切り替えができますので、患者さんの負担も少なくなります。

 また、奈良県立医科大学との連携も緊密です。当センター内に同大学連携大学院・陽子線がん治療研究センターも併設されています。

―今後力を入れたいことなどを。

  奈良県は観光スポットも豊富にありますので、これを生かしてインバウンドとして東南アジアなどの富裕層の取り込みも推進できればと期待しています。東南アジアのどの組織と提携するのかは今後の大きなテーマになるかと思います。

 また、当院の高齢の患者さんからは、介護施設を開設してほしいという要望が出ることもあります。

 地域住民のニーズに対応できるようにして、足腰の強い組織づくりを目指していきます。

社会医療法人 高清会 高井病院
奈良県天理市蔵之庄町470―8
☎0743―65―0372(代表)
http://www.takai-hp.com

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