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大阪市立大学大学院医学研究科 肝胆膵病態内科学 臨床と基礎研究の双方向で新しい治療に挑む

大阪市立大学大学院医学研究科 肝胆膵病態内科学 臨床と基礎研究の双方向で新しい治療に挑む

河田 則文 主任教授(かわだ・のりふみ)
1986年大阪市立大学医学部卒業。
ドイツ・フライブルク大学生化学研究施設、大阪市立大学医学部附属病院などを経て、
2007年から現職。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン客員教授兼任。

 肝がんの集学的治療、新規治験・臨床試験にも積極的に取り組む大阪市立大学大学院医学研究科肝胆膵病態内科学。臨床と基礎研究を両輪に、教室を率いる河田則文主任教授に聞いた。

―教室の強みは。

 大阪は肝疾患の患者数が全国の中でもかなり多く、ここにも多くの症例が集まってきます。治験や新しい治療法への理解もあり、多くのデータを患者さんから得られる環境があります。

 当科と肝胆膵外科、放射線科の3科が強力なタッグで集学的治療を行うことが大きな強みとな
っています。肝がんの手術や内科局所治療、IVR()は、これまで多くの実績を上げています。

 一方で、肝がんを飲み薬や注射で治そうという時代です。分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬を使った内科的治療を期待している患者さんも多くいます。今後も臨床的エビデンスを得ながら進めていきます。

 ウイルス性肝疾患については、C型肝炎のDAA(直接作用型抗ウイルス剤)治療がすでに1000例を超えました。実はかかっているのに気づかない、分かっているけど治療しない患者さんが大勢います。その潜在的な患者さんを足元である病院内で見逃さないよう、他科の医師への啓発を進め、他の病院でもセミナーを行っています。

 次の一手が、市民へのアプローチです。参加型の市民公開講座は毎回盛況ですが、2020年はリモート開催となりました。コロナ禍が収まれば、再開したいですね。初代第3内科教授が市民への啓発活動に熱心で、今に受け継がれています。地域の先生方や患者さんとの距離が近いのは、その結果だと感じています。

―研究面での成果は。

 臨床医であると同時に、基礎研究はずっと続けてきました。臨床の教室では珍しく大きな研究室も開設。現在、基礎研究を続けるために特任の研究者2人を雇用し、臨床と研究でお互いにフィードバックし、双方向で進めています。

 現在は、肝硬変の治療薬開発を行っています。長年、肝臓の線維化に関わる星細胞について研究してきましたが、その過程でサイトグロビンというタンパク質を発見しました。これが肝障害を改善するのではとの仮説に基づいてメカニズムを調べ、動物レベルでの治療薬開発に成功。今後、企業と提携して新しい抗線維化による再生医療を実現できればと考えています。

―教室の運営について。

 大学は、新たな知見を創造することが使命です。実力主義を前提に、出身大学に関係なく互いに高め合える人材を育てたいと思っています。一方で、ファミリーのような温かさを感じられる場にしたい。私が常々言っているのは「メールをやめて、話をしよう」。互いに顔を合わせれば真意が伝わるし、ムードも断然よくなります。

 現在、医局員の半数は女性。ロールモデルとなる先輩がいますので、情報交換が活発に行われています。国際性も重視しており、ベトナムからの留学生が8人在籍中です。多様性を尊重し、誰もが働きやすい職場として、大学でのモデル教室となりたいですね。

 対外的に重視するのは、情報発信力です。教室ホームページは制作会社と相談しながら、概要や活動報告だけでなく、研究費や受賞歴なども掲載。工夫を重ねた結果、医学部でのサンプルになっています。一方で、学生が普段使うコミュニケーションツールとのギャップを感じており、今後の対応は課題ですね。

 若い人の中には、医局に不自由なイメージを持つ人がいますが、大学や医局は、いわばベースキャンプ。所属しながら、がんセンターや省庁、海外留学に行くなど、発見を求めて動いたらいい。そこで就職してもいいし、帰る場所があるという安心感もまた大切です。医局は自由空間なんだとアピールしたいですね。

肝胆膵病態内科学
大阪市阿倍野区旭町1―4―3 ☎︎06―6645―2121(代表)
https://www.med.osaka-cu.ac.jp/liver/

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