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大阪市立大学大学院医学研究科 整形外科学 予防と早期治療介入で健康寿命を延ばす

大阪市立大学大学院医学研究科 整形外科学 予防と早期治療介入で健康寿命を延ばす

教授(なかむら・ひろあき)
1983年大阪市立大学医学部卒業。英ロンドン大学付属ハマースミス病院、
大阪市立大学大学院医学研究科整形外科学助教授などを経て、2009年から現職。

 九つの研究グループで多様な病態に挑む大阪市立大学大学院医学研究科整形外科学教室。教室を率いて12年、脊椎脊髄疾患が専門の中村博亮教授に特長や方針を聞いた。

―運動器疾患予防の重要性を発信しています。

 平均寿命と健康寿命には約10年の差があり、その間に生じているのが介護です。要介護を招く最大要因は運動器疾患であり、ロコモティブシンドロームやサルコペニア、フレイルなどが挙げられます。

 受傷後に治療するだけでは、社会のニーズに十分に応えられていないのではと、私たちは2005年から運動器疾患の予防に重点を置いた住民コホート研究を行ってきました。自然観察を続ける中で、高齢者に多い脊椎脊髄疾患における椎体骨折に注目。骨折の状態が悪くなってから外科的治療を行うのではなく、受傷後早期にその後悪化する人を見極め、治療介入する取り組みを推進。一定の成果が得られました。

 どのような状態の人に障害が生じやすいのか。より対象を広げて行ったのが、千葉大学、北里大学との共同研究です。この横断研究では、体幹筋量が腰痛や腰曲がりに関連することが判明しました。QOLにも大きく影響することから、今後、経年的な縦断研究で因果関係を明らかにできたらと考えています。

 筋肉量の減少はさまざまな病気のリスクを高めます。現在、懸念しているのが新型コロナウイルス感染症拡大による運動器への影響です。緊急事態宣言が続く中、家に引きこもりがちな高齢者は、想像以上に体力が落ちている可能性があります。どのような状況か、関連施設で調査を始めているところです。

 運動器疾患は、高齢になれば誰もが抱える問題ですが、注目されにくいのが難点。疫学や統計学の専門家と協力し、より発信力のある研究に取り組めたらと考えています。

―治療では、低侵襲の手術を推進してきました。

 早期から顕微鏡や内視鏡を用いて体に負担の少ない手術を行ってきたのは、特色の一つかもしれません。特に脊椎内視鏡手術は二十数年の実績があります。高難度の症例の紹介が多く、3次元造形モデルやナビゲーションを併用した手術も行っています。

 この20年ほどで、内視鏡や周辺機器、生体内材料などは画期的に進化し、内視鏡脊椎手術については技術認定システムも確立しました。VRを用いたトレーニングなど、習得メソッドも向上しています。私たちも常にブラッシュアップを心掛けていくつもりです。

―人材育成や、女性医師の活躍について。

 2009年から、独自の後期臨床研修プログラム「クリニカルフェローシップ」を導入しています。大学、基幹型、専門特化型に分類した関連病院をローテーションしながらエキスパートの直接指導を受けられる、まさに「いいとこどり」のシステムです。

 整形外科の10分野を網羅しており、半年を1単元とすると4年間で8分野の研修が可能。大学に戻ってから学んだ内容は、研究発表でアウトプットします。こうして育った医師は自分が若い頃に比べてはるかに優秀ですね(笑)。

 女性の入局者は増加しており、高い能力をいかに長く発揮できるかは出産育児の間のサポートにかかっています。そこで人員配置では、より定員の多い施設に勤務していただくと早退など急な場合にも対応できます。

 私自身、孫ができてあらためて、育児中の方に対する周囲の理解の大切さを痛感しています。女性医師には「キャリアを中断することでやりたいことを諦める必要はない」と常々話しています。

 性別に関係なく、個人の志向、多様性は十分尊重されるべきです。一人ひとりの能力を生かせる教室を目指したいと思っています。


大阪市阿倍野区旭町1―4―3 ☎︎06―6645―2121(代表)
http://www.med.osaka-cu.ac.jp/orthoped/

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