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大阪医科大学 一般・消化器外科 腹腔鏡下手術に注力 女性医師用デバイス開発

大阪医科大学 一般・消化器外科  腹腔鏡下手術に注力  女性医師用デバイス開発

教授(うちやま・かずひさ)
1983年大阪医科大学医学部卒業。
和歌山県立医科大学第2外科准教授などを経て、2011年から現職。
16~20年大阪医科大学附属病院長。

 大阪医科大学一般・消化器外科教室は2021年、1976年の開設から45年を迎える。4代目の内山和久教授の下、伝統を踏まえつつ新しい教室づくりが進む。教室の特徴や若手医師の育成方針を聞いた。

―教室の特徴は。

 当教室は年間1500例を超える手術症例をこなしていますが、特に腹腔鏡下手術を積極的に行っています。100%近くに達している大腸がんを含め、消化器がん全体の手術の80%を腹腔鏡下が占めています。これを学ぶために当教室の扉をたたく若い医師は多いです。私の専門である肝がんの手術も腹腔鏡下手術が60%を超えています。当教室の腹腔鏡下手術の特徴は、近赤外線を照射すると蛍光を発するインドシアニングリーン(ICG)を用いた肝切除です。切除対象となる腫瘍領域をより明確に描写できる利点があり、10年以上前から使っています。また、これは胆嚢摘出手術における術中胆道造影として利用することもできます。

 細胞内のミトコンドリアに存在する「5―アミノレブリン酸」を用いた腹腔鏡下手術も行っています。術前に投与して肝臓に光を当てると、同物質を取り込んだ腫瘍細胞が赤く発光し、肝がんの完全切除と腫瘍細胞の遺残診断を可能にします。

 現在、当科では胃、食道、大腸領域に手術支援ロボット「ダビンチ」を用いて良い成績を上げていますが、今後、肝・胆・膵(すい)領域にもその適応を拡大したいと考えています。

―若手医師の育成は。

 若い医師の多くは、「外科の教育は厳しい」とのイメージを抱いているのではないかと思います。私はこのイメージを変える教育を着任以来行ってきました。教育方針は「出る杭は育てる」。短所はさりげなく直して、長所をどんどん伸ばしていく。カンファレンスでも自由に発言できるようにしています。

 現場では若い先生に「なぜなぜ分析」をしています。例えば、発熱が続くという報告があると、その理由を問います。「腹部に膿がたまっているから」という答えが返ってきたら、さらにその原因は何なのかを質問する。「なぜ」を重ねることで、原因を自分自身の中ではっきりと分析してもらうことが狙いです。問い詰めるのではなく、言葉遣いにも気を付けて傾聴することを意識し、教室全体として和気あいあいとしたおおらかな雰囲気になるようにしています。

 また、経験した症例はできるだけ早く発表する機会を与え、論文にするように指導しています。遺伝子解析などの研究にも力を入れており、年間の英語論文数もようやく40を超え、教室全体としてアカデミック・サージャンの育成を目指しています。

 私は外科医の必要条件として積極性を挙げ、「コップ半分の水理論」に例えて語っています。グラスに入った水を見た時、「もう半分しかない」と感じるか、それとも「まだ半分ある」と捉えるか。医学を含めイノベーションは「もうない」という悲観論ではなく「まだある」と前向きに捉え、一歩進んで「水はさらに注がれる」と考えられるぐらい、おおらかで積極的な人が適していると思います。


―女性医師が働きやすい環境づくりについて。

 男性医師と比較して力が弱く、手の小さい女性医師でも操作しやすい腹腔鏡手術分野の手術デバイスの開発を進めています。この取り組みを含め、学会で女性医師の活躍に関する学術発表をしている活動などが評価され、当教室医師の河野恵美子先生が内閣府の2020年度の「女性のチャレンジ賞」を受賞しました。

 私は女性医師の消化器外科分野への参加促進などを目的に全国の医師らで設立した「消化器外科女性医師の活躍を応援する会」に所属していて、女性医師をサポートしています。今後も働きやすい職場づくりに努力してまいります。


大阪府高槻市大学町2―7 ☎︎072―683―1221(代表)
https://www.osaka-med.ac.jp/deps/sur/

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