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大学、医師会と連携し地域医療を支えていく

大学、医師会と連携し地域医療を支えていく


事業管理者(つぼうち・ひとし)

1984年鹿児島大学医学部卒業。
鹿児島大学医学部附属病院(現:鹿児島大学病院)、鹿児島県立薩南病院、
小林市立病院事業管理者兼病院長などを経て、2014年から現職。

 全国でも都市部以外は医師不足に悩まされているが、宮崎県西部の西諸地域も例外ではない。同地域の医療の中核を担う小林市立病院は、救急患者の受け入れを強化したことで、2019年9月、宮崎県救急医療事業功労者として表彰された。今後の展望などを、坪内斉志事業管理者に聞いた。

―宮崎県救急医療事業功労者として表彰されました。

 西諸医師会から推薦いただきました。病院としてこういった賞をいただけるのはとても有り難いことです。

 私たちの病院がある小林市や高原町、えびの市の西諸地域も、全国の地方と同じく医師不足が顕著な地域です。加えて当院はもともと鹿児島大学の出先機関なので、医師が鹿児島に帰郷し、医師不足で外来ができない事態にもなりました。

 そこで医師会に相談し、外科、整形外科など外科系が充実している当院で、救急車による搬送などの2次救急と外科、悪性疾患などの手術と入院医療にできる限り対応し、それ以外の診療科を他の病院に担ってもらう形を取りました。救急の受け入れ数は2010年に年間437件まで減っていましたが、私が病院長になってからは700~800件ほどと、地域でかなり多く受け入れることができていると思います。

 西諸医師会が当院のすぐ横にあります。スタッフが手薄になる場合、例えば学会や研修など事前に分かっているスケジュールについては早めに伝え、体制を整えてもらうなど連携がしっかりと取れています。

 地域住民の方が「地域医療を考える会」という団体を立ち上げてくださっており、地方病院の在り方を一緒に考え、理解し合う関係もできています。

―産婦人科再開など新しい動きも。

 分娩のできる産婦人科が2017年に西諸地域でゼロになりました。医療圏でお産の場がなくなるのは、県内でも初めてだったのではないでしょうか。

 県外に勤務していた地元出身の医師から、地域の現状を知って、自ら当院でやりたいと申し出があり、2019年の1月に産婦人科を開設しました。8月までで60例ほど当院で出産しています。

 とはいえ、常勤は彼1人。帝王切開も増えている今、件数が増えるごとにリスクも増している状況です。受け入れ件数に制限を設けるなど、対応が難しい患者さんは、宮崎大学など県央の病院に早めに送るなどの対策を取っています。地元のお産の場を守るためにも、診療科を継続する方法を模索し続けなければなりません。

 これまで週に1回の小児科専門外来は宮崎大学、また日曜日当番医は月に2~3回、宮崎大学および鹿児島大学の派遣によるサポートを得ていました。その中に常勤を希望する医師がいたことで、2019年4月、およそ10年ぶりに小児科を常設することができました。

 以前から、地元の開業医の先生方に頑張っていただいていましたが、負担になっていたのは確かです。日曜に空白がないよう住民の皆さんと約束しており、当院の常勤医に派遣医師を加えて、年間休日の8割程度はカバーできるようになりました。

―今後の展望は。

 地方の病院にとって、地域医療の維持は最も大きな課題です。そのためにも、地元の宮崎大学との連携を密にして、医師の派遣を定期的に確保していきたいと考えています。

 宮崎大学医学部地域医療・総合診療医学講座の吉村学教授は、地域医療研修の一環として県内各地に医学生を送り出しています。その影響もあって、宮崎大学や県立宮崎病院から当院へ派遣される初期研修医の数も増加傾向。後輩に当院を勧めてくれる学生もいるようで、うれしいですね。

 地域住民の皆さんに安心した生活を送っていただけるよう、今後も改革を進めていきます。

小林市立病院
宮崎県小林市細野2235―3
☎0984―23―4711(代表)
https://kobayashi-city-hp.jp/

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