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多職種で危機に向き合い 地域医療支えるヒント探る

多職種で危機に向き合い 地域医療支えるヒント探る

下田 勝広 院長(しもだ・かつひろ)
1982年熊本大学医学部卒業。
米マサチューセッツメディカルセンター留学、
医療法人八宏会有田胃腸病院副院長などを経て、2015年から現職。

 大分県臼杵市の唯一の2次救急病院で、新型コロナウイルス感染症の流行初期からコロナ患者を受け入れている「臼杵市医師会立 コスモス病院」。下田勝広院長にマンパワー不足を補う手法や、今後の病院運営に生かす教訓について尋ねた。


―流行初期からの対策と、最も苦慮していることは。

 当院は医師会立ではありますが、市民病院としての役割も担っています。これまで地域包括ケアの体制づくりに医師会の先生方、行政と力を合わせて精力的に取り組んできました。この取り組みが相互理解を生んで連携につながり、今回のコロナ対策でも大きな力となっています。

 迅速に院内にPCR検査の体制を整え、感染者の早期発見に努めてきました。当院敷地内の発熱外来棟の運営にも医師会の先生方に協力いただき、スムーズに運営を開始することができました。体制づくりが一本化せずやや混乱し、時間がかかった地域もあるとの話も耳にしますが、人口約3万5000人の市で、会員61人の小さな医師会が「地域を守る」という強い使命感で一体となったことが良い結果につながっていると考えています。

 最も頭を悩ませているのは、限られた医療資源と人材で地域医療を維持しながらコロナ患者を受け入れるため、どうバランスを取るかということです。恒常的な看護師、ケアワーカー不足の中で、私は毎日現場に出向いてスタッフの疲労感やストレスを肌で感じながら、どの程度受け入れられるかを検討してきました。

 軽症とはいえ介護の必要な高齢者や認知症患者の感染管理には想像以上にマンパワーが割かれることも実感しました。将来の地域医療が抱えるマンパワー不足は数の絶対的不足に加え、介護度の高い高齢者、認知症患者の増加など質の変化による相対的不足も付加されると推察しています。


―マンパワー不足をどのようにカバーしているか。 

 病棟のマンパワー不足を多職種で補う取り組みも徐々に行われるようになっていて、これは大きな収穫だと思っています。例えば、夕食時には手の空いたホームヘルパーが食事介助を行ってくれるようになりました。収束後もこのような多職種での取り組みは重要なものとなるため、積極的に推進していくつもりです。

 第5波、特に2021年8月中旬から爆発的に患者が増加し、感染症病床エリアの6床も満床となり、地域からの受け入れが困難になることが予測されました。病院幹部、理事会で検討を重ね、地域包括ケア病棟の1棟を9月から感染者専用病棟に転用することに。転用の決定から約1週間で一般患者さんの移動、新規ゾーニング、コロナ患者さんの移動、消毒、陰圧室などの整備、そして勤務体制の組み替えができたことには私自身大変驚き、スタッフには感謝の気持ちでいっぱいです。

 一時的に一般急性期の患者さんの受け入れが制限されることも予想されますが、入退院調整に力を入れて乗り切る覚悟です。


―コロナ禍で得た教訓は。

 各部門長からの意見に誠実に耳を傾け、決して院長の独断専行となってはならないことです。素晴らしいアイデアは管理者以外のスタッフから出ることが多いもの。日頃から意見交換がしやすい信頼関係を築くことが大切であると痛感しました。早い決断が必要な時は、まずベターを選び、ベストを尽くす。そして適宜修正するという柔軟性が必要であることも学びました。

 コロナはある種の大災害で、その対応は近い将来発生が予想されている南海トラフ大地震、津波に生かされる点も多いと思います。まだまだ収束は見えませんが、いろいろと試行錯誤する過程で将来の地域医療を支えるヒントも多く隠されているような気がします。

臼杵市医師会立 コスモス病院
大分県臼杵市戸室長谷1131―1
☎0972―62―5599(代表)
http://www.usukicosmos-med.or.jp/

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