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“多様性”をテーマに医師の育成に挑む

“多様性”をテーマに医師の育成に挑む

島根大学医学部内科学講座 内科学第一
教授(かなさき・けいぞう)
1996年滋賀医科大学医学部卒業。大阪労災病院腎臓内科、米ハーバード大学医学部、
金沢医科大学糖尿病・内分泌内科学准教授を経て、2019年から現職。

 大阪労災病院時代、重症化する糖尿病患者を目の当たりにして研究の必要性を痛感。キャリアに応じて環境を変えながらも、一貫して糖尿病を軸とした研究に邁進してきた金﨑啓造教授。7月に赴任した島根大学にて、どのような取り組みを行うのか、その意気込みを聞いた。

現状を認識して新しい拠点整備へ

 金沢から島根に移ってきて2カ月、同じ日本海側の県とはいえ石川県と島根県では医療の事情が異なる。今は「現状認識を深めるとき」と金﨑教授は話す。

 「島根県は東西に非常に長く、街が点在しています。一方で石川県は南北に長かった。私のいた金沢医科大学は能登半島の付け根にあり、そこが拠点として機能していました。島根中西部は広大で、どうしても医療が手薄になりがちです」

 また専門である糖尿病については、細やかな診療が求められており、今よりもっとマンパワーが必要だと認識している。

 「人員が足りていないと耳にしていますが、まだ島根に来て間もないので、一度病院を訪問して現状を把握したいと考えています。糖尿病診療は一人ではできません。数が多い上に、合併症を含めた正確な診断・治療が必要であり、ディスカッションなしで進めるのは危険だからです。そのためには、まず若い人を教育して人材を輩出すること。幸い医局の先生方は若くて熱心です。彼らと向き合える喜びと同時に、指導する責任を感じています」

研究が進んでいない分野に果敢に挑む

 滋賀医科大学にて研修後、大阪労災病院にて腎臓内科レジデントとしての時間を過ごす。ここでの経験が大きな意味を持つことになる。

 「腎臓内科の嘱託で2年間、大阪で過ごしました。年間100件近い腎生検・透析導入など、腎臓のことを主にしていた中で、治療に難渋する人はだいたい糖尿病。このとき、糖尿病を何とかしなければと痛切に感じました。大学院に帰ってからは腎臓の線維化、これの抑制を研究しました」

 その後、「一度は世界を見なければ」という思いが募り、5年間米国ハーバード大学へ。より広い視点を得るために、線維化やがんの研究を継続しながら、妊娠高血圧腎症についても深い知見を得た。

 「当時の上司と相談して、研究が進んでいない分野を切り拓こうという方針になりました。ハーバードでは最後の2年をインストラクターとして過ごすことができ、教育に携われたのも大きかったですね」

 そして、金沢医科大学へ。糖尿病腎症の研究を中心に、糖尿病自体の研究、臓器の線維化やがんなど幅広く取り組んだ。

 「常に問題意識を持って研究を続けました。少しずつですが、研究をする気風を残すことができたと思います」

世界に通用する医師を育成

 今後は教授として、医局の運営と教育が求められていく。「専門医だからといって、その分野だけにとらわれないことが大切だと思います。糖尿病も内分泌も全身疾患ですし、研究も多岐にわたります。まずは広い視野を持つ人材が必要ではないでしょうか」

 金﨑教授がテーマに掲げているのが「多様性」だ。

 「研究マインドに基づいた世界に通用する能力を持ちつつ、地域医療にもしっかりと貢献できる。多様性のある医師の育成を目指したいと考えています」

 後進の育成と同時に、研究についてもこれまでと変わらず続けていく考えだ。

 「糖尿病腎症の患者さんを一人でも減らせるように、基礎・臨床研究を実行します。もう一つはがん。がんと糖尿病の関係性を掘り下げ、がんを悪化させる要因や薬の安全性など課題は山積みです。一つ一つ着実に取り組んでいきます」

島根大学医学部内科学講座 内科学第一
島根県出雲市塩冶町89―1 ☎0853―23―2111(代表)
https://www.shimane-u-internal1.jp/

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