九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

外科治療 発展のためにも 心を通わせる診療を

外科治療 発展のためにも 心を通わせる診療を

医療法人社団全仁会
木村 理 病院長(きむら・わたる)

1979年東京大学医学部卒業。
獨協医科大学越谷病院外科講師、
山形大学医学部附属病院副病院長などを経て、2019年から現職。

 20年以上在籍した山形大学医学部を退任し、故郷である埼玉へと戻ってきた木村理病院長。「どのような地域であっても、病気と患者さんは変わらない。医者は目の前の患者さんと向き合うだけです」と話す。地域の中核病院として取り組むべき課題とは。

「人の命を預かる」仕事に魅了され

 「医師になりたい、と小学校の頃から志を持っていました」と話す木村病院長。全身管理ができ、患者を自らの手で治療できる「外科医」に憧れたという。東京大学医学部卒業後は迷うことなく、外科医の道へと進路を定めた。

 1998年からは山形大学医学部外科学第一講座(消化器・乳腺甲状腺・一般外科)の教授として学生の育成にも携わった。「山形はもう第二の故郷ですね」と、頰をゆるませる。

 「日本の、世界のあらゆる地域に病気や患者さんは存在しています。そう考えると、医師が目の前の患者さんに最善を尽くすという本質は、世界のどこにいても変わらないと思います。山形大学では多くの研究に携わり、膵臓疾患の治療では一定の成果を出すことができました。どこにいても、世界に向かって成果を発信できることを実感した20年でした」

医療安全の意識改革にも着手

 病院長就任に当たって、二つのことを目指した。「一つは健全な経営を行うこと。もう一つは医療安全の意識を高め、質の高い医療を提供すること」

 ミスは起こらないと考えるのではなく、むしろ「ミスは起こるもの」として捉え、二度と起こさないためにどうすべきか、という前向きな提言をするようにシフト。結果として、スタッフが小さなことでも隠さずに報告をするようになった。病院全体としての透明性が向上したと言う。

 「ミスをした犯人探しをしても意味がありません。チーム全体でお互いをいかにカバーしていくのか。スタッフの間で、この意識が徐々に高まってきていると実感しています」

災害に強い病院づくり

 台風などの被害が相次いでいる近年、日本各地の災害対策が大きく見直されていると感じているという。

 「山形大学に在籍していた時には、東日本大震災を経験しました。その経験から、災害に強い病院づくり、地域づくりは特に大切だと痛感しています」

 BCP(事業継続計画)を策定し、災害時においても入院の受け入れ、物資の供給などに努めていく。

 「春日部は、関東大震災が起こった際、東京からの被災者を早くから受け入れた地域と聞いています。歴史的に見ても重要な地域であると考え、より一層の災害対策に取り組みます」

患者さんと相互に理解を深めていきたい

 国内全体に広がっている外科医の不足。その原因の一つとして考えられるのは「外科医が腕を磨く場が減ってきているから」と、木村病院長は指摘する。

 「外科医は万全を期して手術に臨みますが、〝絶対〟はありません。患者さんと医師との間に十分な信頼関係が得られず、残念ながら訴訟問題に発展してしまうケースもある。この状況が、外科医に対して二の足を踏んでしまう要因の一つになっています」

 外科医を取り巻く環境、特に労働環境の改善やチーム医療の徹底など克服すべき課題は多くある。「重要なのは、患者さんに手術そのもののリスクを理解いただくこと。そして医師が十分な説明責任を果たすことにあると考えています」

 難しい問題に真っ向から立ち向かう。その背景には質の高い外科治療を継続していきたいという思いがある。「外科治療の発展には、患者さんの理解が何よりも重要だと思っています」

医療法人社団全仁会 東都春日部病院
埼玉県春日部市大畑652―7 ☎048―739―2000(代表)
http://www.touto-kasukabe-hp.com/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram has returned invalid data.

コメントはこちらから

メニューを閉じる