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外来中心の診療で多様化する精神医療に対応

外来中心の診療で多様化する精神医療に対応


院長(おかだ・かずし)

1988年和歌山県立医科大学卒業。
三重県立小児心療センターあすなろ学園、高知医科大学(現:高知大学医学部)附属病院、
金城学院大学人間科学部心理学科(現:多元心理学科)教員、
海辺の杜ホスピタル副院長などを経て、2016年から現職。

 坂本龍馬の銅像で有名な桂浜の近く。穏やかな浦戸湾に面する「海辺の杜ホスピタル」は、2019年11月に開設90周年を迎えた。これまでの歩みとともに、100周年を視野に入れた今後のあり方について岡田和史院長に聞いた。

―90周年を迎えてどのように感じますか。

 高知県の精神科医療の中心的役割を果たし続けてきた90年です。開業は1929年。災害や敗戦、社会状況の激変など時代の荒波にもまれながら本当によく続いてきたなと思います。

 昔は少なからぬ偏見を持たれていた精神科は、私が医師になった30年ほど前と比べると、ずいぶんイメージが改善されました。

 以前は統合失調症や重度のうつ病、躁うつ病の人など、本当に困っている人しか病院には来なかった。それが今は重症化する前に受診してもらえるようになりました。非常に良い変化です。

 われわれも地元の新聞に定期的にコラムを掲載してもらうなど、積極的に啓発に努めています。

 当院は患者さんのことをユーザーと呼んでいます。病院の理念としてノーマライゼーションの実現のために、「地域の中でユーザーと共に歩む精神科医療を目指す」ことを打ち出しています。この方針は1996年、前院長で現在名誉院長である清水博先生のときに定められ、本格的な取り組みが始まりました。

 具体的には、長期入院されている方をできるだけ社会に戻すといった早期退院による社会復帰と在宅療養の推進。そのためにデイケア施設や援護寮、地域移行型ホーム、訪問看護ステーション、地域生活支援部などの施設や仕組みによってユーザーの地域移行を実現しています。

 それによって1965年には453床あった病床が、現在240床にまで削減されました。今後、さらに減らしていく方針です。

―外来機能のあり方も変化しましたか。

 以前は入院患者さんが中心でしたが、現在はその割合が逆転。単に外来の受診者数が増えただけではなく、症状が多種多様になり、診療に時間がかかり、診断が難しくなっていることから外来の比率が高くなったのです。

 外来では、どうしても1人当たりの診療時間が長くならざるを得ないケースがあります。

 精神科の場合、丁寧に時間をかけて診察しないと病気の原因を見極められない。症状としては軽くても問題の根が深く、診察に時間がかかってしまうことも多いのです。

 病床数が減って、経営的には厳しい状況です。しかし、県内の精神科医療への貢献を目指してきた病院として、何とか理想を追求していきたいと思っています。

―今後は。

 発達障害への対応を強化する方針です。発達障害は社会の関心も強く、困っている方も増えており、当院としてもしっかり対応していかなくてはなりません。

 当院は公認心理師6人、精神保健福祉士6人、作業療法士4人を確保するなど、メディカルスタッフが充実しています。発達障害の治療においてもプラスになると思います。

 また、アルコールなどの依存症対策に、笠井秀夫副院長が中心となって引き続き取り組んでいきます。

 もう一つ取り組みたいのが、南海トラフ地震への備えです。この地域の津波による浸水想定は3メートルで、当院は海に面しているため被害が大きくなる可能性があります。

 いざというときに「想定外でした」とならないよう可能な限り準備していますが、こればかりは先が読めません。地震そのものを避けることはできませんから、的確に陣頭指揮が執れるよう、職員一同、しっかりとした備えを心掛けたいと思います。

医療法人精華園 海辺の杜ホスピタル
高知市長浜251
☎088―841―2288(代表)
http://umibeno-mori.com/

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