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変わる道北・道東の医療 改革が生んだ成果とは

変わる道北・道東の医療 改革が生んだ成果とは

 古川  博之 病院長(ふるかわ・ひろゆき)
1980年神戸大学医学部卒業。米ピッツバーグ大学、
北海道大学医学部附属病院(現:北海道大学病院)などを経て、2018年から現職。
外科学講座 肝胆膵・移植外科学分野教授、旭川医科大学副学長を兼任。


 2018年7月、旭川医科大学病院の病院長に就任したのは、外科学講座 肝胆膵・移植外科学分野教授の古川博之氏。同大は深刻な医療過疎を解消すべく、1973年に北海道第2の都市・旭川に開学。医師不足や地の「不利」など、山積する問題に対する果敢なアプローチが注目されている。

―旭川医科大学病院の特徴を教えてください。

 北海道のほぼ中心に位置する当院は、道北・道東エリアの基幹病院としてドクターヘリ事業への協力、救急搬送への対応など、地域医療の根幹を支える役割を担っています。

 長年にわたり吉田晃敏学長が旗振り役となって、遠隔医療に力を注いできました。広大な北海道では遠方から通う患者さんが非常に多く、とりわけ冬季は天候の影響を受けて通院が困難になりやすいのです。

 また、医師偏在による慢性的な医師不足などの問題を解決すべく、1999年に「遠隔医療センター」を設立。2016年、クラウドを活用した画像診断システムを導入しました。

 医師はどこにいてもスマートフォンやタブレットなどの端末を通して画像診断が可能。より迅速な対応につながっています。

 ロボット支援下手術など、最新の機器や技術を積極的に取り入れています。2018年には、世界で初めての採用となる、8Kスーパーハイビジョン内視鏡を組み込んだ腹腔鏡手術システムが加わりました。細かな血管や神経などが鮮明に映し出され、その画質は思わず感嘆の声を上げてしまうほどです。

―地域に残る医師が増加傾向にあるそうですね。

 本学の入試では、入学者の半数を北海道出身者を対象とする「地域枠」としています。

 新臨床研修制度がスタートして以降、旭川に残ってくれる医師は、学年当たり10分の1ほどになるという危機的状況に陥りました。

 卒業後の道内の医療過疎地での研修、勤務を条件とする地域枠を開始したところ、その効果が顕著に現れました。将来、道内の医師の半数以上が本学の出身者になるのではないかと予測されています。しかしその一方で、人口の減少によって、いずれ「医師が過剰になる」とも指摘されています。

 そうした状況を考慮して2018年に設けた制度が「国際医療人特別選抜」。世界水準の医療を提供し、国内はもとより、広い視野で各地の地域医療の課題の解決に貢献できる人材の育成を目指しています。

―他にもさまざまな試みが進行しています。

 道北・道東地域は深刻な外科医不足に直面。対応策として2016年、次世代の外科医の育成を支援する「一般社団法人AMUSE(旭川医科大学外科学講座教育支援機構)」を設立しました。私が代表理事を務めています。

 従来の第1外科、第2外科を統一して法人化。新たな組織として一歩を踏み出したのです。現在は理事9人、個人会員がおよそ130人。おそらく、外科の法人化は国内でも例がないと思います。

 この改革を境に、カンファレンスや医局説明会、親睦会、学会や研究会の参加支援、新専門医制度プログラムの構築とサポートなど、外科が一丸となって取り組んでいます。

 それまで外科の入局者は年に1~2人でしたが、2017年は9人、2018年は6人、今年も7人がAMUSEに入会し、手応えを感じているところです。

 日露の医療協力体制の構築など、国際化も進めています。2年後を目指し、ロシアの人材を受け入れてトレーニングする「国際医療支援センター」を開設する予定です。

 今後はますますグローバルな視点をもつ医療人が求められるでしょう。北海道のレベルアップはもちろん、その先を見据えた医療者の育成が私たちの責務だと強く感じています。


旭川医科大学病院
北海道旭川市緑が丘東2条1─1─1
☎0166─65─2111(代表)
http://www.asahikawa-med.ac.jp/index_h.php

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