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増加する呼吸器疾患に幅広く対応できる医師を育成

増加する呼吸器疾患に幅広く対応できる医師を育成

呼吸器内科学
教授(ふじた・まさき)

1988年九州大学医学部卒業。
米ナショナル・ジューイッシュ・メディカル&リサーチセンター留学、
九州大学医学部附属病院(現:九州大学病院)呼吸器科、
福岡大学医学部呼吸器内科学准教授などを経て、2017年から現職。

 高齢化に伴い増加傾向を示す呼吸器疾患。大気汚染などによる罹患(りかん)率の高まりも懸念される中、呼吸器内科医を目指す若手の数は伸び悩んでいるという。呼吸器内科医のリクルートや育成に尽力する福岡大学の藤田昌樹教授に、この領域での人材確保の現状や求められる資質などについて話を聞いた。

─呼吸器内科医の現状は。

 最近は、肺がん治療が目に見えて進んでいます。そのため、呼吸器内科を志望する医師が、肺がんの診断や治療に打ち込んでいる医療機関に集中しているイメージがあります。しかし、肺がんに特化した診療や治療をしている医療機関はわずかです。その一方で、肺がん以外で呼吸器内科のセールスポイントを挙げるのが難しい面もあります。

 外来受診患者の数だけを見てみると、全国の呼吸器内科と循環器内科、消化器内科は、ほぼ同じ。しかし、2017年の厚労省の調査によると、専門医の数では、それらの診療科の中で呼吸器内科が最も少ないという結果が出ているのです。

 高齢化により、呼吸器疾患を患う方は、これからさらに増加していくことが予想されています。さらに、最近では、大気汚染が原因とされる呼吸器疾患の患者さんも増えてきており、今後、呼吸器科医の必要性はさらに増してくるでしょう。

 実は、戦後しばらく、結核が非常に流行した時代があり、多くの医師が呼吸器内科を志望しました。ところが、抗結核薬が開発され治療が容易になると、呼吸器内科医になる人は大幅に減少したのです。はやり廃りに左右されないよう、同じ轍(てつ)を踏まないよう、人材確保に努めたいと思っています。

─呼吸器内科医に求められることとは。

 さまざまな診療科の知識と広い視野、中庸な立場でのアドバイスやコミュニケーション能力が求められていると思います。

 例えば、免疫チェックポイント阻害薬を使った肺がん治療は、全身にわたる副作用にも注意しなければなりません。

 呼吸器疾患には、その他にも感染症やぜんそくなど多種多様な疾患があります。「この疾患だけを診る」ということは、成り立ちにくい。むしろ、さまざまな要素をうまくまとめて診断する、いわゆるオーガナイズできる能力が必要です。

 若いうちは、多くの病院でさまざまな症例を経験し、患者さんにどのように接するべきかを学んでほしい。その上で、大学に戻って、自分の専門領域を研究する道を選んでもらえればと思います。

―今後の展望をお聞かせください。

 呼吸器疾患では、肺がんをはじめ、気管支拡張症や非結核性抗酸菌症、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など、依然としてなかなか治療が難しいものが多いことは否めません。

 すぐに有効な治療薬がないとなれば、〝予防〟に取り組むことが重要になってくるでしょう。例えば禁煙であれば、社会的な啓発活動を行う、禁煙外来を充実させるなどの方法が考えられます。

 もう一つは、リハビリテーションなどを活用して、患者さんの生活の質の向上に貢献することです。そこで、福岡大学病院では「mediVRカグラ」という仮想現実(VR)技術を応用したリハビリテーション用機器を導入。この機器を使うと、ゲームをしながら楽しくリハビリができます。

 もともとは脳血管疾患の患者さん向けに開発されたものですが、呼吸器疾患の方にも効果が期待できるのではないかと導入しました。患者さんからの評判も良いようです。

 患者の会もつくりたいですね。患者さん同士の情報交換や交流の場を設けることで、生活の質を上げるのに貢献できるのではないかと思っています。

福岡大学医学部 呼吸器内科学
福岡市城南区七隈7―45―1
☎092―801―1011(代表)
http://www.med.fukuoka-u.ac.jp/respiratory/

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