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埼玉医科大学病院 神経精神科・心療内科 三つの特徴打ち出し 個性ある診療科へ

埼玉医科大学病院  神経精神科・心療内科 三つの特徴打ち出し  個性ある診療科へ

教授(まつお・こうじ)
1994年千葉大学医学部卒業。
東京大学医学部附属病院精神神経科特任講師、
山口大学大学院医学系研究科高次脳機能病態学講座准教授などを経て、
2019年から現職。埼玉医科大学病院院長補佐兼任。

 埼玉県における精神科医療の最後の砦(とりで)として、先進医療を提供している埼玉医科大学病院神経精神科・心療内科。教授の松尾幸治氏は、臨床面で三つの柱を据え、多彩な研究も進めながら独自の色を打ち出そうとしている。

―臨床面での特徴は。

 まずは精神科救急、いわゆる「スーパー救急」です。精神症状が重く緊急性が高い患者さんや、身体疾患も同時に抱えている患者さんを県内全域から24時間体制で受け入れています。大学病院での取り組みとしては全国的にも珍しいので、大きな特徴と言えると思います。

 二つ目はうつ病、双極性障害の診療です。これらは私の専門で、教授に着任してから専門外来をスタートしました。鑑別診断の補助検査として、脳の血流変化を測る光トポグラフィー検査を行っているほか、地域の医療機関からは薬剤抵抗性うつ病に対する修正型電気けいれん療法(mECT)の依頼なども受けています。少しずつ患者さんの紹介数が増えていて、今後さらに力を入れていきたいと考えています。

 三つ目はてんかん診療。近年は小児科や脳神経外科で診ることも多いですが、てんかんに起因する情緒不安定、幻覚などの症状に対しては、精神科の診療が必要です。当科にはてんかんの専門医が複数おり、発作のコントロールに加えて精神症状を安定させるような診断・治療も行っています。世界的に見ても精神科医がてんかんを診る体制は珍しいと思いますので、大きな柱に据えています。もちろん、子どもの発達症や高齢者精神科医療など社会問題となっている分野も幅広く診療しています。

―研究面でも、さまざまなことに取り組んでいます。

 MRIや光トポグラフィーなどの神経画像装置を用いて、精神疾患に関する脳のメカニズムを解明するための研究を行っています。例えば、うつ病と自殺の関係性。自殺未遂をした患者さんと、その経験がない患者さんの脳の働きを解析し、衝動的な行動を事前に予測できないか研究しています。

 また、最近では名古屋大学と共同で、自動車運転と脳機能の関連性も研究しています。現在、国内の精神科で扱う薬の大半は、添付文書に運転制限が記載されていますが、そのエビデンスは明確ではありません。研究を進めることで、精神疾患があって薬を服用している患者さんでも問題なく運転できることが分かり、結果的に国内の状況も変化すれば良いと思っています。

―新型コロナウイルスの影響については。

 「コロナうつ」と呼ばれるような新規の患者さんはそれほど増えていない印象です。一方、これまで通院していた患者さんの症状が悪化することはあります。なかでも高齢の認知症の人は、行動が制限されたことで認知機能が低下するだけでなく、足腰も弱ってしまう。今後は多方面からのケアが必要になるでしょう。

 大学の教育面に関しては、2020年の春先まではリモート講義となり、臨床実習も中断していました。夏から徐々に実習を再開しましたが、やはり不足している部分があります。看護師らの教育でも同様の問題があるようですので、医療機関全体で対応を考えなければいけません。

―今後の展望は。

 後進の育成を含め、埼玉県の精神科医療を下支えし、同時にオピニオンリーダーの役割も担いたいですね。地域の先生方と情報交換しながら、精神科医療に関わる行政の会合などにも積極的に参加して、意見を述べたいと考えています。

 当科全体の理想の姿として見据えているのは「個性の強い診療科」です。幅広く対応しつつも、特定の分野では他に負けない、特定の分野を勉強するなら当科しかないと思ってもらえるような個性を打ち出したいですね。


埼玉県毛呂山町毛呂本郷38 ☎049―276―1111(代表)
https://saitama-med-psy.jp/

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