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基礎力、独創力を備えたリーダー育成に努める

基礎力、独創力を備えたリーダー育成に努める

九州大学大学院医学研究院 脳神経外科
准教授(みぞぐち・まさひろ)

1991年九州大学医学部卒業。
米マサチューセッツ総合病院/ハーバード医科大学がんセンター、
九州大学病院脳神経外科、北九州市立医療センターなどを経て、2018年から現職。

 50年以上の歴史を持ち、日本の脳神経外科の発展に寄与してきた九州大学脳神経外科教室。その中で脳腫瘍の遺伝子解析研究に携わり、若手の指導も担う溝口昌弘准教授に、教室の果たすべき役割、求められる人材について聞いた。

教室の特徴は。

 九州大学脳神経外科教室は1966年に開設された、伝統のある脳神経外科教室の一つです。初代北村勝俊教授、第2代福井仁士教授、第3代佐々木富男教授、第4代飯原弘二教授の下、本邦の脳神経外科学の発展に中心的な役割を果たしてきました。

 脳神経外科は、人格をつかさどり、人間の本質とも言える「脳」に直接触れ、治療し、その診療行為に責任を負う診療科です。わが国の医療の根幹を成す基本的診療領域に属し、外科治療のみならず脳神経系に対する総合的な医療を担う科で、脳神経外科医は「外科医の目と技を持つ神経系総合医」と言われています。

 当教室はその幅広い領域に精通したスタッフを有し、多くの特色ある関連施設のネットワークを構築。卓越した脳神経外科トレーニング・プログラムを通し、明日の脳神経外科学を開拓、けん引できる医師の育成に努めています。

─研究について。

 大学院時代の約25年前から、脳腫瘍の遺伝子解析に着手し、これまでさまざまな改良を加え、臨床応用してきました。遺伝子解析には臨床サンプルの蓄積が重要であり、四半世紀にわたるサンプルの蓄積を継続し、その数は3000例を超えています。その後、世界的に脳腫瘍を対象とした包括的なゲノム解析が開始、脳腫瘍のゲノム背景が徐々に解明されてきました。

 最新の脳腫瘍WHO分類2016年改訂では、従来の病理組織診断に分子診断を加味した統合診断が確立し、脳腫瘍診断において遺伝子解析は必須のものとなっています。しかしながら、脳腫瘍の時間的空間的多様性が現在の診断治療に対する大きな障壁となっており、現在この多様性を克服する方法として髄液を使用した「liquid biopsy」の研究に力を入れています。

 25年前と比べ解析技術は飛躍的に進歩しており、隔世の感があります。当時のカンファレンスで脳腫瘍診断の将来像に関して話をしたことを今でも覚えていますが、現在、まさに当時想像していた脳腫瘍の分子診断が確立されたことは、感慨深いものがあります。

 若い先生にも将来の臨床像を見据えた、自由な発想に基づく研究を行ってほしいと思います。そのためには、専門領域のみならず応用可能な幅広い基礎知識を身に付けること。「基礎」「臨床」双方に精通し、その橋渡しができる研究者の育成を目的に、大学院時代には他の研究室、部局との交流を積極的に行うことで幅広い基礎知識を習得し、俯瞰(ふかん)力、独創力を兼ね備えたリーダーの育成に努めていきたいと思います。

─地域での役割は。

 九州大学病院は、がん診療連携拠点病院および九州唯一の小児がん拠点病院として、質の高い医療提供と連携強化に努めています。さらにがんゲノム医療中核拠点病院の指定(2018年4月〜)を受け、翌年8月には当院においてもがん遺伝子パネル検査が開始され、本格的にがんゲノム医療が導入されています。脳腫瘍は希少がんに位置づけられ、再発神経膠腫、小児脳腫瘍を中心に積極的に同検査を取り入れています。

 現時点での、さまざまな情報蓄積が将来のゲノム医療を大きく進歩させるものと考えています。遺伝子異常に基づくがん種横断的な治療法の開発に伴い、脳腫瘍に対しての治療法の選択も徐々に広がってきています。より専門的な知識が求められる分野でもあり、常に新たな知識、世界の動向に精通することが重要と考えています。

九州大学大学院医学研究院 脳神経外科
福岡市東区馬出3─1─1
☎092─641─1151(代表)
http://www.ns.med.kyushu-u.ac.jp/

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