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地方独立行政法人 静岡市立静岡病院 創立150周年

地方独立行政法人 静岡市立静岡病院 創立150周年

市民とともに歩む病院であり続けるために

 安土桃山時代に徳川家康が築城した駿府城。その四足御門(よつあしごもん)外に、前身である「藩立駿府病院」が開設されたのは1869年のこと。1951年に中堀と外堀との間にある現在地に移転。景観の一部として溶け込みながら市民に親しまれてきた。病院の歩みと今後について宮下正理事長に聞いた。

―150年の歩みを聞かせてください。

 開設は1869年(明治2年)。当初は藩立だったのが2年後の廃藩置県で県立となり、すぐに郡立に。さらに1889年、静岡市制が施行されたことに伴って市に移管されました。1945年、戦火によって焼失しましたが翌年には仮設で開院。1951年に現在地に移転し今に至ります。

 一つのターニングポイントは、1962年に心臓病センターを開設し、心臓病手術を始めたこと。静岡県中部において、人工心肺を用いた開心術をリードしてきました。その伝統を受け継ぎ発展させて、循環器内科・心臓血管外科は、現在に至るまで当院の強みです。1970年代以降は、診療科を増設しながら総合病院としての機能を充実。高度医療を取り入れて発展してきました。

―最近の変化は。

 2016年の地方独立行政法人化です。「『ひと』こそすべて」を合言葉に人材獲得・育成に力を入れてきました。法人化のポイントである事務系職員については、3年経った現在、法人独自採用で民間経験のある医事系職員と、ガバナンス・マネジメント系にすぐれた市派遣職員のハイブリッド構成がバランスが良いように感じています。

 医療職は高度医療に対応するためにすべて増員。医師の確保については絶えず努力しています。静岡県民360万人に対して、県西部にある浜松医科大学が唯一の医育機関です。県内の医師需要にはとても足りません。医師需給面での困難は、当県医療関係者にとって共通の課題です。

 病院の機能分化が進んでいますが、本来、人間のからだは臓器別に切り分けられるものではない以上、水平方向の機能分化は、患者さんにとって必ずしもメリットばかりではありません。高度急性期医療を目指す総合病院としては、トータルに医療が提供できるだけの診療体制は備えておきたいと思います。

―今後の課題は。

理事長

 70万人の政令指定都市に不可欠な医療の提供に引き続き取り組みます。まずは救急医療、災害時医療、第1種感染症指定医療機関としての感染症医療。人間社会の再生産・維持に不可欠な周産期医療。公立病院ですから、市民のセーフティネットとしての役割は必ず果たしたい。また、地域がん診療連携拠点病院としての役割や心臓・循環器診療のさらなる発展にも、取り組んでいきます。

 地域医療構想によって地域間・病院間の格差拡大が懸念されます。医療の均てん化の観点からは大きな課題です。簡単なことではありませんが、病院という「箱」を越えて医師が動く仕組みが構築できれば、医療の均てん化にも、医師の偏在対策にもなるでしょう。

 医療は「社会的共通資本」です。医師という職業を、よりパブリックな観点で捉え直す必要があると個人的には思っています。困っている人を置き去りにしない医療を実践していきたいですね。

地方独立行政法人 静岡市立静岡病院
静岡市葵区追手町10―93
☎054―253―3125(代表)
https://www.shizuokahospital.jp/

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