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地域連携で認知症ケアを新型コロナにも即時対応

地域連携で認知症ケアを新型コロナにも即時対応


院長(たなか・けんたろう)

2002年福岡大学医学部卒業。
福岡県立精神医療センター太宰府病院、福岡大学病院精神神経科助教、
同医学部精神医学教室助教(医局長)などを経て、2015年から現職。

 近隣の病院、介護施設、行政などと密に連携しながら、認知症の診療・ケアに取り組んでいる水戸病院。2015年から院長を務める田中謙太郎氏に病院の強み、各機関との連携、そして新型コロナウイルス感染症への対応などについて話を聞いた。

―病院の主な特徴を教えてください。

 当院は福岡空港の裏側、糟屋郡志免町にあり、福岡県から粕屋医療圏における認知症医療センターの指定を受けています。病床数は精神療養病棟60床、精神病棟90床、認知症治療病棟50床の計200床です。付帯施設として認知症高齢者のデイケア、デイサービス、有料老人ホーム、認知症グループホームなどがあり、認知症や高齢者の方々の生活全般をサポートする体制も整えています。

 認知症医療センターの役割として、診療面では幻覚、被害妄想、徘徊(はいかい)、抑うつ、不安など認知症に起因する精神症状への薬物治療のほか、スタッフの関わりによる治療を実施。例えば体育療法士の指導で、掛け算九九を言いながら階段を上り下りし、頭と体を両方動かすことで認知機能を保つ訓練などを行っています。入院患者さんの身体疾患に対しても、福岡大学病院を中心に周辺の救急病院ともネットワークを構築し、フォロー体制を整えています。

 認知症医療センターの役割として、かかりつけ医の先生、介護職、行政との連携も非常に重要です。かかりつけ医の先生からは患者さんの紹介を受け、認知症の鑑別診断などを行っており、介護職の皆さんとは研修会などを通して、密に情報交換しています。

 行政の連携では、地元の志免町が設けている志免町認知症初期集中支援チーム「桜花」に協力しています。地域の方から近所の高齢者の様子が少しおかしいといった連絡が地域包括支援センターにまず入り、支援チームのスタッフが訪問。どのような状態かを把握した上で、当院につなげる仕組みになっています。地域全体で、認知症患者を早期からケア・治療し、ご家族もフォローしていきたいと考えています。

―新型コロナウイルスの対応については。

 基本的な感染対策に加え、早い段階から入院患者とのオンライン面会を実施しました。面会を希望するご家族が高齢で、自宅にパソコンなどがない場合は、当院の診察室まで来ていただき、スタッフが準備したタブレットを通して面会。オンライン上で姿を見るだけでもご家族は安心するようで、この取り組みは良かったと思います。

 一方、地域としての課題もあります。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、一人暮らしの認知症患者さんも自粛生活を余儀なくされており、認知機能の低下などが懸念されています。さらに、離れて住んでいるご家族が様子を見に行く回数も減ってしまい、各機関のサポートも従来の形では難しい。どのように対応すれば良いのか、現在考えているところです。

―これからの展望、目標などについて。

 新型コロナの影響がどこまで続くか分からない今、状況に応じて変わっていく必要があると感じています。在宅を含む認知症患者さんへの対応、院内の情報システム、地域のネットワークづくりなどに関して、時代に即した新たなスタイルを模索しなければいけません。常にこれらの問題を念頭に置きながら、ベストな方策を早く見つけたいと思っています。

 個人的には認知症医療と同時に、精神障がい者の社会復帰も取り組みたいと考えています。私はスポーツ精神医学を専攻し、大学病院勤務時代から精神障がい者のフットサルに関わっています。今後もスポーツを通して、少しでも多くの人が社会につながるようサポートしたいですね。

医療法人社団緑風会 水戸病院
福岡県志免町志免東4―1―1
☎092―935―0073(代表)
http://mitohospital.com/

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