九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

地域完結型医療を目指す

地域完結型医療を目指す


院長(のむら・ひでゆき)

1980年九州大学医学部卒業。同第一内科助手、
新小倉病院副院長、原土井病院副院長などを経て、2019年から現職。

 原土井病院は地域活動を通じて、高齢者の健康増進に注力している。野村秀幸院長は地域完結型医療の中核病院と位置づけ、地域に根差した「バーチャル総合病院的な連携」の構築を描いている。

基本理念の徹底 風通しの良い院内

 「職員1000人規模の病院でありながら、組織内の風通しがいい。廊下でも職員が気軽にあいさつをし、居心地の良さをずっと感じています」

 法人施設全体の幹部会議や院内幹部会議、毎朝の医局カンファレンスに出席する。院長方針を示すと当該部署だけでなく各部署の職員が一斉に動き、何ごともスムーズに運ぶ。

 「患者さんや病院のためにどうすべきかを職員が常に考えている印象です。基本理念『博愛』と『すべての人に平等な医療と介護を提供する』との基本方針が徹底しているからでしょう。それだけに院長の責任は大きいと身が引き締まる思いです」

地域包括ケアをさらなる完成形に

 福岡市東区の病院周辺は古い住宅街で高齢化が進んでおり、「住み慣れた街で高齢者が安心して暮らせること」が地域の課題だ。

 原土井病院は、現理事長の原寛氏が1967年に33床で開業。1980年から高齢者医療に特化し、高齢化率の高まりとともに、病床数も増えていった。現在は、近隣に診療所や介護福祉施設など20以上の施設を展開。医療、健康増進、介護、さらには在宅医療を含め、地域の高齢者の健康を支える存在となっている。

 野村院長は、法人内施設だけでなく地元医師会と協力して地域包括ケアシステムを形成する「地域完結型医療」の完成形として「バーチャル総合病院的な連携」を考えている。

 急性期と回復期の双方の機能を持つ原土井病院が、夜間の発熱など高齢者の急性期疾患を受け持ち、高度医療が必要な時は大学病院へつなぐ。治療後は回復期リハビリなどを経て、かかりつけ診療所や在宅医療、介護福祉施設にバトンを渡す仕組みだ。「当院が地域に根差した中核病院としての役割を担うことで、高齢者医療と福祉全般に貢献したい」と力を込める。

ウイルス感染症の研究実績生かす

 野村院長の専門はB型、C型肝炎の診断と治療。前任の新小倉病院では肝臓病センター長を務め、2016年からAMED(日本医療研究開発機構)肝炎克服実用化研究事業にも協力研究者として参加した。ウイルス感染症の臨床研究に伴うネットワークは広く、九州大学医学部臨床教授も兼任している。

 「ウイルス性肝炎の治療薬はかなり研究開発が進んでおり、自分の研究としても一区切りつきました。次は高齢者医療が課題だと考えていたところに、まさかの新型コロナウイルス感染症の拡大。感染症の研究が院長の初仕事に役立つとは思いもしませんでした」新型コロナウイルス感染症対策は、地域完結型医療の機能が試される機会となったとも言える。

 2020年2月早々、ネットワークを通じて情報を集め、院内と系列施設に防護服やマスクの手配、感染者が出た時の手順を徹底するよう指示していた。

 周辺の医療機関から「発熱者の検査を引き受けて」との要望が相次いだためだった。「これこそ中核病院の役割だ」と思い、直ちに発熱外来とPCR検査の判定結果を待つ専用個室病棟を設けた。
 「できる限りの策をとっているところです。未知の感染症に対し、全部署が総力を挙げて迅速に対応する病院の力、地域の結束力と連携を、さらに強めていきたいと思います」

社会医療法人 原土井病院
福岡市東区青葉6-40-8 ☎️092-691-3881(代表)
https://www.haradoi-hospital.com/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる