九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

地域医療発展の礎を築く

地域医療発展の礎を築く


上本 伸二 学長(うえもと・しんじ)

1981年京都大学医学部卒業。
三重大学医学部教授、京都大学大学院医学研究科肝胆膵・移植外科学分野教授、
同附属病院副病院長、同大学院医学研究科長・医学部長などを経て、
2020年から現職。

◎学長就任に当たって

 滋賀医科大学は、滋賀県内唯一の医学部であり、かつ数少ない医学部単独の国立大学法人として、「地域に支えられ、地域に貢献し、世界に羽ばたく大学」をモットーに、優秀な医師・看護師・助産師を輩出してきました。しかし、大学卒業後に県内で活躍する医療者が少なく、結果として滋賀県は近畿圏内で人口10万人当たりの医師数が最も少ない。その解消のために、へき地医療を含めた医療水準を上げ、滋賀医科大学と関係病院の人材育成システムについてさらなるレベルアップを図りたいと思います。

 一方、法人化後の国立大学は、財政面では厳しい状況が続いています。長期的に対応すべく、科研費を含めた外部資金獲得の増加と附属病院経営の安定がキーポイントです。そのためには、研究活動の底上げ、総合病院としての高度医療から一般医療まで包括する、裾野が広い診療・人材育成体制の構築が必要です。

 この前向きな構想実現のためには教職員のモチベーションが最も大切です。「サスティナブルでアトラクティブな滋賀医科大学」を合言葉に、その礎を築いていきたいと思います。

◎今後の取り組み

 一つ目は、「滋賀県の医療においてリーダーシップを発揮する」ことです。滋賀医科大学と関係病院に若手医師にとって自分を高めてくれる魅力ある人材育成システムを構築することが重要であり、そのためには優秀な指導医の育成・派遣と〝働き方改革〟に対応した職場環境整備が必要です。

 本学は女子学生と女性医師が多く、女性医師に配慮した職場環境の改善を全国に先駆けて進めてきた実績があります。今後はこの取り組みを関係病院へ展開することで、滋賀県全体の女性医師キャリアアップ支援の充実を図り、最終的には医師全体のキャリア支援を進めていきます。

 また、看護領域においては訪問看護師コース、看護師特定行為研修などを全国に先駆けて推進。滋賀県民への社会貢献という活動を通して滋賀県医療モデルをつくり上げていきます。

 二つ目は、「医学研究において全体的な底上げをする」ことです。滋賀医科大学においては、〝選択と集中〟のコンセプトの下、神経難病研究センターにおけるアルツハイマー病研究、動物生命科学研究センターにおける遺伝子改変カニクイザルを活用した研究、アジア疫学研究センターにおける最先端疫学研究と国際共同疫学研究を展開してきました。今後も滋賀医科大学の顔としてこれらの研究を推進していきますが、特定の研究領域に固執すると、時代の流れに対応できなくなるリスクがあります。

 企業であれば時代の淘汰(とうた)と理解されますが、半永続的に医療人を育成するミッションがある国立医科大学において、将来の激動にも耐え得るためには、幅広い医学研究領域での研究活動が重要と考えております。

 その一環として研究に専念できる大学院生の増加は重要です。研究に没頭できる大学院生と、指導教員との日々のディスカッションの上に斬新な研究は展開されるものであり、特に日々の診療業務で指導教員が疲弊している臨床系講座における研究では、不可欠であると思います。また、研究に邁進(まいしん)し、国際的に活躍する大学院生や中堅医師の存在は、学生や若手医師の目に映り、サスティナブルな滋賀医科大学の発展に寄与するものと考えます。

◎地域に貢献

 大学の役割として、地域の産業活性化貢献としての産学連携推進があります。

 滋賀県においては金融機関も参画する産学官金連携のコンセプトで、健康・医療産業の活性化に取り組む「滋賀県産業支援プラザ」があります。その支援も受けながら、滋賀県内の企業や他大学と連携して、地域の産業活性化のさらなる推進に貢献したいと思います。

滋賀医科大学
大津市瀬田月輪町 ☎️077-548-2111(代表)
https://www.shiga-med.ac.jp/

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