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地域医療を支え世界水準の研究を

地域医療を支え世界水準の研究を


教授(やすだ・さとし)

1987年東北大学医学部卒業。米カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部研究員、
東北大学大学院医学系研究科循環器内科学准教授、
国立循環器病研究センター副院長などを経て、2020年から現職。

 2020年、教授に就任した安田聡氏。循環器分野で東北の医療を支えるため、関連病院との連携を主導し、世界水準の研究にも意欲的だ。7代目教授の理想の教室像とは―。

10年ぶりに母校へ

 医学の道を歩み始めた母校であり、准教授も務めた東北大学大学院医学系研究科循環器内科学の教室。教授として約10年ぶりに戻ってきた。「懐かしい気持ちと、新鮮さが入り混じっているような感覚です」

 准教授時代に指導した世代が中堅となり、教室を引っ張っている姿に、「当初は少し不思議な感じがしましたが、彼らの仕事ぶりはとても頼もしい。今後の教室運営が楽しみになりました」と声を弾ませる。

 教室の一番の強みは「優秀な人材がそろっていること」。歴史ある講座の土台に、レベルの高い臨床、研究、教育を積み上げることを目指している。

慢性心不全の長期研究 地域医療底上げ図る

 研究面では、あらゆる心疾患の終末像とも表現される慢性心不全について、東北地方の基幹病院などと協力して特徴と治療法を探る研究を長期的に行っている。これまでの研究では、日本は欧米と異なり冠動脈疾患を背景とする慢性心不全が約25%にとどまっていることや、当初の予想に反して日本人患者も欧米の患者と同様に予後は良好な状態とは言えないことなどが分かってきた。

 今後は、登録されている1万件の症例について研究を深める予定で、「長期的に、かつ多くの症例を用いているのが特徴で、さらなる成果が出れば世界的にも貴重な研究となるはずです」と見据える。

 高齢化に伴い増加が危惧されている慢性心不全の分野で地域の医療機関と連携することで、「研究という意識を持ちながら高いレベルで診療に当たることで、地域全体のレベルアップにもつながっていく」と確信している。研究を通じて他の医療機関と顔が見える関係を築き、一体感が生まれることも期待している。

 大学組織としての研究の先進性も強みの一つ。遺伝子からタンパク質レベルに至るまで、さまざまな最先端の研究が日々行われ、AI技術などを持つ企業と共同研究できる環境も整っている。組織の利点を生かしながら、循環器疾患を起こさない、または起きた後に重症化させないことを目指した予防、予測、先制的な医療に重点を置いて研究、診療を前に進める。

国循で広がった世界的な視野

 福島県伊達市出身で、初期研修までを東北で過ごした。国立循環器病センター(国循、現:国立循環器病研究センター)に赴任したことが医師人生の中で大きな転機となった。

 全国から大阪の国循に集った上司や同僚たちは、さまざまなバックグラウンドと考え方を持ち、活発で野心的な人ばかり。刺激的な日々を送り、「国循で働いたことを通して、日本での立ち位置、世界での立ち位置を意識するようになり、視野が広がっていきました」と振り返る。

 教授になり、この経験が教室運営に生かされている。「今後は地域医療を支える人材を育てると同時に、世界に発信できる新たな研究を進めます。先進的で、臨床にもフィードバックできるような研究が理想です」

 若手医師の指導では、二つの「バランス」を重視している。臨床と研究の適切なバランスと、頭でっかちではなく、社会人の良識も兼ね備えた人材の育成。地域医療を支え、世界レベルの研究成果を出すために欠かせないリーダーシップを発揮できる後進を育てる使命を担っている。

東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学
仙台市青葉区星陵町1ー1 ☎022ー717ー7000(代表)
https://www.cardio.med.tohoku.ac.jp/2020/jp/

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