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地域医療を守るために人材確保や連携をより強化

地域医療を守るために人材確保や連携をより強化


院長(まつお・けいいちろう)

1987年宮崎医科大学(現:宮崎大学医学部)卒業。
宮崎市立田野病院健康管理部病院診療課課長、百瀬病院などを経て、2014年から現職。

 城下町の面影が残る、宮崎県の小京都・日南市飫肥地区。観光地として活気はあるものの地域の高齢化は進んでいる。一時はこの地域に入院可能な医療機関がなくなる危機もあったが、11年前に医療法人慶明会がおび中央病院を開院。地域住民の生活を守る医療と介護の在り方に模索を続ける、松尾佳一郎院長に聞いた。

―慶明会は2019年に50周年を迎えました。

 慶明会は、生活に欠かせない「目」の診療を軸に、地域の人々の生活を助けたいという初代の土屋勇満先生の志を出発点に、患者さんや地域の人々に支えられながら続いてきました。

 おび中央病院は、2008年に開院。この地区には飫肥藩の藩医の流れをくむ病院がありましたが、後継者がいないなどの理由で閉院。その現状を知って、当法人が、前の病院の跡地に開院したのです。

 ただし、人手不足などで思うような診療ができず、飫肥地区や山間部の酒谷地区の住民はかかりつけ医を遠方にある日南市中心部に持たざるを得なくなっていました。当時私は、日南市内の別の病院で勤務していたのですが、少しでも地域の助けになればと2014年に着任しました。

―取り組みについて。

 まず困ったのは、人材や器材がかなり不足していたこと。CTや内視鏡など基本的な器材もありませんでした。器材については、法人本部と相談の上、多少無理をして購入しました。

 地方の病院では、医療と介護は切っても切り離せない関係なのですが、リハビリテーションスタッフは2人、ソーシャルワーカーは1人しかいない時期もありました。現在はリハビリスタッフが7人、ソーシャルワーカーは3人にまで増えています。

 高齢化が進む地域の病院では、どこも同じだと思いますが、医療費などの収入は減る一方です。質の高い医療を提供しようとすれば、器材費や薬剤費については病院側で負担せざるを得ません。それらの部分をどのようにカバーしていくのかが、今の課題です。

 新しいことにも着手するつもりです。私は外科出身で、救急も経験しています。副院長も外科、もう1人の医師は麻酔科なので、急性期の対応ができる医師がそろっています。

 そこで、急性期治療に関しても可能な範囲で対応できるようにしたいと思いますし、地域の拠点病院である県立日南病院の負担を減らすお手伝いができたらと思っています。当院は悪性腫瘍終末期の対応もできますので、緩和ケアの患者さんを預かることもできます。そのような連携も強化できればと願っています。

―今後の展望は。

 地域包括ケア病棟の開設です。老老介護や慣れない介護に疲弊する家族の方の負担を少しでも補えるよう、「時々入院、ほぼ在宅」という形を実現したいと思っています。

 そのためにも、まず看護師をもう少し増やしたいですね。地元の看護学校との連携で、2020年から、新人の看護師が毎年1人ずつ入ることになりました。当院には看護学校で教鞭(きょうべん)を執ったことのある看護師もいますので、新人の育成プログラムも考案中です。

 現行の制度では地域包括ケア病棟をつくったとしても、患者さんが入院できる日数は60日までと制限がありますので、退院後の受け入れ先を確保することが重要になります。

 幸い、近隣に介護用ベッドを備えた病棟を開設しようという病院がありますので、連携を進めて、地域全体で住民の皆さんの生活を見守り続けていく体制づくりも必要ではないかと考えています。

 訪問診療ももちろん視野に入れていますが、やはり人材不足が課題です。人材雇用や医療資材確保に役立つ新たな制度ができればと願います。

医療法人慶明会 おび中央病院
宮崎県日南市飫肥6―2―28
☎0987―25―2525(代表)
http://www.keimei.or.jp/obichuo/hospital/

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