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地域医療の維持・発展を

地域医療の維持・発展を

長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 耳鼻咽喉・頭頸部外科学
教授(くまい・よしひこ)

1999年熊本大学医学部卒業。大阪赤十字病院、米ハーバードメディカルスクール、
熊本大学大学院感覚・運動医学講座頭頸部感覚病態学分野准教授などを経て、2020年から現職。

 2020年1月、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学の教授に就任した熊井良彦氏は、地域医療への貢献を目標に掲げ、教室の体制整備や若手医師の育成に注力。さらに、嚥下(えんげ)診療にも積極的に取り組みたいと語る。

実習見学を機に耳鼻咽喉科医へ

 医師を志したのは高校2年の頃。文学少年だったこともあり、作家の北杜夫や森鷗外のような精神科医に憧れを抱いていた。しかし、入学した熊本大学医学部で転機が訪れる。

 「最初の病院実習が耳鼻咽喉・頭頸部外科で、講師の先生の手術を見学しました。その姿に感銘を受けて、精神科から進路を大きく変えたのです。この診療科は聞こえること、声を出すこと、食事をすることなど、人間のQOLに直接関わります。きっとやりがいを感じられるに違いないと確信しました」

 今でも忘れられないエピソードがあると言う。以前、患者さんからもらった手紙の話だ。その患者さんは耳が遠く、テレビの音量を上げすぎると家族に少々疎まれていた。だが、手術後に聴力が回復し、音量を下げても問題なく聞こえ、家族にも嫌がられなくなったという感謝の内容だった。

 「手紙をいただいたときは私も本当にうれしかったですね。これこそが耳鼻咽喉科の醍醐味(だいごみ)だと感じました」

就任直後から人材登用に着手

 熊井氏は、2020年1月の教授就任後、まずは医局の体制を整備することから始めた。

 「私が就任した際、准教授と講師のポストが一つずつ空いていたので、それぞれに優れた人材を招聘(しょうへい)しました。どちらも人柄、臨床、研究の面で素晴らしく、教室を支える大きな柱ができたと思います。また、医局長とのコミュニケーションも大切にしており、私自身も過去に医局長だった経験を生かしながら、円滑な教室運営を心掛けています」

 一方で課題もある。熊井氏が挙げたのは、若手医師の確保だ。「私が就任する以前から若い医師は継続的に入局していましたが、まだ少人数ですので、さらに多くの医師を確保したいと思っています。そのためには、教室の雰囲気づくりが重要です。例えばカンファレンスでは若手であっても自由に意見が言える、風通しの良い環境を目指しています」

優秀な医師を育て地域医療を支える

 長崎県は一つの都市に人口が集中しているわけではなく、距離が離れた各地域に分散している。結果として、頭頸部を含むがん治療はそれぞれの地域で完結させる必要性があり、その分だけ多くの優秀な医師が必要だという。

 「現在、各地域にしっかりとした先生がおられ、長年にわたって県内のがん治療に貢献されています。私の役目は、彼らのような医師を数多く育て、今後も長崎県の地域医療を維持・発展させることです」

 2021年には東京の国立がん研究センター東病院に教室の医師を派遣する予定だ。「ほかの国内留学、さらには海外留学も、積極的に推奨したいと考えています」

嚥下診療の充実を

 将来を見据えた目標もある。これまでも専門領域として携わってきた「嚥下障害」に関するものだ。「目標は二つあります。まずは、がんの放射線治療や化学療法などの副作用として発症する誤嚥(ごえん)性肺炎に対し、そのリスクを減らすような研究を進めるつもりです」

 もう一つは、耳鼻咽喉科医がすべき嚥下診療を明確化することだ。「現在、嚥下診療には歯科の医師も積極的に取り組んでおり、彼らと役割分担しながら、できることを考えていきたいと思います」


長崎市坂本1-7-1 ☎095ー819ー7200(代表)
https://www.med.nagasaki-u.ac.jp/orl/

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