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地域医療の核としてあらゆる泌尿器疾患に対応

地域医療の核としてあらゆる泌尿器疾患に対応

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍学講座泌尿器科学分野
准教授(えのきだ・ひでき)

1992年鹿児島大学医学部卒業。鹿児島市立病院泌尿器科、
出水市立病院(現:出水総合医療センター)泌尿器科、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍学講座泌尿器科学分野講師などを経て、2012年から現職。

 鹿児島県内の地域医療の核として、あらゆる疾患の治療を行っている鹿児島大学・泌尿器科学分野。腎臓移植や小児泌尿器疾患などのスペシャリストをいかに育成しているのか、また基礎研究への取り組みなどを、医局長を兼任する榎田英樹准教授に聞いた。

─医局の特徴、強みは。

 現在、医局には18人、関連病院に出向している医師を含めると40人弱が在籍しています。

 一般的に泌尿器科は排尿障害とがんの治療を主としていますが、当科は腎臓移植、血液透析を含む血液浄化治療、小児の先天奇形や不妊の治療など、幅広く行っています。

 全国的に見ても、腎臓移植と小児医療の両方を診る医療機関は数えるほどです。当病院が診なければ、患者さんは東京や福岡の病院まで行かなければなりません。特に腎臓移植は、手術後の管理が大事ですから、地元の病院で受けるほうがいい。地域医療の観点からも当科の存在意義は大きいと考えています。

 もちろん、高度な手術は、専門の医師でなければ対応できません。そこで、高度専門技術を必要とする手術の症例数が多い病院に、医師を2年間ほど派遣。研修によって技術を習得する手法をとっています。2019年は、腎臓移植手術の研修から医師が戻ったことでマンパワーがアップし、年間27症例の腎臓移植手術を行いました。

─診療の現状は。

 高齢化が進み、泌尿器科医の需要はこれまで以上に高まっています。

 最近は、患者さんのダメージが小さいロボットや腹腔鏡を使用した手術が増えました。

 以前は、大きく浸潤した局所進行の前立腺がんは、手術を行っていませんでしたが、現在は、術前のホルモン化学療法で腫瘍を小さくし、ロボットを使って取り残しがないように切除して再発を抑えています。

 また、2005年から密封小線源療法にも取り組み、治療数は600人を超えます。放射線を出す小さな線源を前立腺内に埋め込む治療法で、麻酔は下半身だけに効く腰椎麻酔、治療時間も3時間程度で済みます。比較的悪性度の低い種類のがんが対象ということもあり、約95%の根治率を達成しています。

─地域医療の現状は。

 離島については、現在、奄美大島に常勤の医師3人が出向。種子島医療センターには非常勤の医師が週1回通っています。

 ドクターヘリで運ばれる急患も受け入れていますが、治療後が問題です。離島に帰る際は、船や飛行機を利用しますが、寝たきりの患者さんの場合、安全上の問題から断られることがあります。そのため蘇生用の機器を持って、医師が付き添うこともあります。

 離島に限らず鹿児島はへき地が多い地域です。本来は、各地に泌尿器科医を出向させるべきですが、医師不足のため十分な対応ができていません。学生に早い時期から泌尿器科の魅力を伝えるなどして、医師の育成にも尽力しています。

─教育・研究は。

 後期研修の1年目は医局で高度な医療を経験。2年目以降は、地域医療を担う連携病院で経験を積んでいきます。

 連携病院では、自分の診断・治療の結果に責任を持たなければならない場面が多くなります。そうした経験が自立心を育み、一人前の泌尿器科医に成長させてくれます。

 また、研究も大切な仕事です。当教室では、マイクロRNA(短鎖核酸)の基礎研究に力を入れています。

 独自の患者プロファイルを作成・解析し、がんで発現するマイクロRNAを尿中で測定することに成功しました。現在は、尿路上皮がんの診断・予後予測マーカーの開発と、新規治療法の開発につながる研究を行っています。将来的には、研究成果を、臨床の現場に応用し、社会に還元したいと考えています。


鹿児島市桜ケ丘8─35─1
☎099─275─5111(代表)
https://www.kufm.kagoshima -u.ac.jp/~urology/

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