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地域医療の新しい時代へ

地域医療の新しい時代へ

独立行政法人 国立病院機構 別府医療センター 矢野 篤次郎 院長(やの・とくじろう)
1983年九州大学医学部卒業、同第二外科(現:消化器・総合外科)入局。
1989年九州大学大学院卒業。九州がんセンター外科医長
中津市民病院副院長などを経て、2019年から現職。

 国立病院機構別府医療センターは、創設から90年以上の歴史を持つ大分県東部の中核病院である。この4月に病院長に就任した矢野篤次郎氏に、これまでの医師として歩みと医療に対する取り組み、そして新しい時代に向けた抱負を聞いた。

数々の改革を推進

 別府は源泉数、湧出量ともに日本一を誇る、国内屈指の温泉都市。国立病院機構別府医療センターは、その北部にある亀川地区に位置し、1925年に創設された亀川海軍病院を前身とする。亀川温泉は、江戸時代から湯治場として知られ、風光明媚な土地柄もあって傷病軍人の療養所となった。戦後は国立病院として70年あまり大分県東部における中核病院としての役割を果たし、2004年に独立行政法人に移行。現在に至っている。

 矢野院長は、2012年に臨床研究部長として赴任し、副院長を経て、この4月に10代目として就任。臨床研究部長時代から数々の改革を手がけてきた。

がんの治療と予防をライフワークに

 「私が来る前の2008年には、地域がん診療連携拠点病院の指定を受け、実績も上げてはいましたが、チームとしてはバラバラという印象でした。そこで、私ががん治療センター長になってから、がん医療に関わるスタッフの役割を明確にする委員会(キャンサーボード)をつくり、組織を〝見える化〟。現在、毎週定期的に会議を開いています」

 矢野院長には、がんの研究者として患者を救いたいという思いから、医師を志したというルーツがある。

 「かつては『がんは不治の病』と言われていました。子どもながらに使命感のようなものを感じて医師を目指し、九州大学医学部に入学。当初は主に研究をしたかったのですが、外科医の先輩から『がんの研究をしたいなら、まず手術を経験しないと話にならないぞ』とアドバイスを受け、第二外科に入局。その後、大学院で肺がんの腫瘍免疫に関する研究で学位を取り、九州がんセンターで呼吸器外科の修練をしました」

 がんセンター勤務時代にがんの治療と予防をライフワークとすることを決めた。

 「現在、積極的に取り組んでいるのが『がん医療ネットワーク』づくりです。がん医療はここ10年ほどでめざましい発展を遂げており、われわれも拠点病院として治療実績を上げています。ただ、残念なことに、あまり広報されることがありませんでした。病院内の『がん相談支援センター』も周知されていなかったのですが、2014年に『がん医療ネットワークナビゲーター』制度がスタートしたことで、患者さんと家族に正しい情報を伝え、より専門性の高い施設や病院に仲介する役割が果たせるようになりました」

 こうした地域における地道な活動と同時に、がんに関する著作も執筆。現在までに4冊の著書を出版し、がん予防のための新しいエビデンスなどを紹介。市民向けの健康・がん予防講演会も積極的に行うなど広く情報発信に努めている。

新たな病院理念を掲げて一丸となる

 矢野院長は就任にあたり、病院の理念を「急性期医療の地域中核拠点として最善の医療を行う」と掲げた。

 「病院の理念は、時代とともに変わっていかなければなりません。今まさに2025年に向けた、地域医療構想が進行中です。例えば、『高度急性期に重心を置いた医療を担う』といった病院が目指す方向性を明確に示すことで、それぞれの立場や業務を理解できるようにしたい。私が院長を拝命して1カ月後に『令和』となりました。この新しい時代にふさわしい理念を持った病院として、職員一同が地域医療に貢献していきたいと思います」

独立行政法人 国立病院機構 別府医療センター
大分県別府市内竈1473 ☎0977-67-1111(代表)
https://beppu.hosp.go.jp/

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