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地域医療の地盤を固め若手育成にも着手

地域医療の地盤を固め若手育成にも着手

感覚運動医学講座 眼科学分野
教授(いけだ・やすひろ)

1995年九州大学医学部卒業。同大学大学院医学研究院眼病態イメージング講座准教授、
同眼科学准教授などを経て、2019年から現職。

 iPS細胞や遺伝子による治療法など、技術革新が進む眼医学分野。その技術を地域医療にどう取り入れていくべきか。2019年8月、宮崎大学医学部の感覚運動医学講座眼科学分野の新教授に就任した池田康博氏は、開口一番に「地域医療の充実」を挙げる。

県内の医療格差を実感

 就任した翌週、「まずは現状を知りたい」と地元の開業医も含め、県内の眼科を持つ医療機関にあいさつに回った。運転した距離は5日間で950㌔。その広さから、宮崎市を中心とする県央部と、それ以外の医療格差を感じたという。

 「特に県北、その山間部辺りは、大学病院のある中心部に簡単に来院できる距離ではありません。電車など交通網も発達していない。手術をして『翌週、翌々週も診察に来てください』と気軽に言える環境ではないことを実感しました」

 基幹病院を核とした地域医療の充実を図りたいと模索する。県央部に医師が偏在。さらに医師そのものが不足しているため、医局自体も自転車操業のような状態だ。県北や県西の基幹病院に、医師を安定して派遣するためには、地元の開業医との病診連携を密にしていきたいと考える。

 「若い医師を育て、ある程度の急患手術が各地域でできるような体制を整備したいと思っています」

若い医師たちに眼科の魅力を伝える

 眼科の医師の数は、ここ10年ほど全国的に見て徐々に増えてきている。これは、日本眼科啓発会議、日本眼科学会、日本眼科医会が2012年から「眼科サマーキャンプ(2019年からスプリングキャンプ)」と銘打ち、研修医や学生を対象とした勧誘会を実施したことが、理由の一つとして考えられる。

 このキャンプでは、最先端の研究をしている先輩の講義を受けたり、一緒に手術の練習などを行ったりしているという。「先輩方の話は大きな刺激になります。この流れに宮崎もぜひ乗っていきたい」

 眼科においても、遺伝子やiPS細胞を使った研究など最新技術が次々に導入されている。臨床の現場においても、立体的な画像診断システムや、天体望遠鏡などに用いられる「アダプティブ・オプティクス(補償光学)」の技術を導入。視細胞レベルまで観察できる環境が整ってきている。

 このような技術は、若手医師の関心を促すきっかけになるのではと期待する。「眼科自体、とても面白くなってきています。若い医師たちも、興味を持ったらぜひ一度学んでみてほしいですね」

地域医療の充実を

 宮崎県では糖尿病網膜症が多く、比較的若い人でも重症化している例が多いという。一般的には、糖尿病の患者に対しては、内科から早めに眼科受診を勧めることが常態化しつつある。池田教授の前任地・福岡においても、糖尿病専門の病院に、眼科の医師が診察に行くといった体制があった。

 「宮崎県においても、内科ともっと連携を進める必要があると感じています。眼科同士だけではなく、他科との病診連携をしっかり構築することで、患者さんの糖尿病網膜症への意識と理解を促していきたい」

 前任地から取り組む「網膜色素変性」の遺伝子治療研究を、宮崎で行う準備も進めている。

 手術の専門分野である緑内障については、遺伝子治療が応用できる可能性も見いだしている。「県内全域でデータを収集し、緑内障の診察法や治療法を確立して地域の医師たちと共有できるネットワークをつくりたい」と精力的に動く構えだ。

 「まずは県内の眼科医療体制の足場をしっかりと固めること。若手医師の育成を含めて、地域医療を充実させていきたいですね」

宮崎大学医学部 感覚運動医学講座 眼科学分野
宮崎市清武町木原5200 ☎0985—85—1510(代表)
http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/ophtha/

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