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地域医療の充実に「患者第一」で臨む

地域医療の充実に「患者第一」で臨む

独立行政法人 労働者健康安全機構 中国労災病院
院長(くりす・かおる)

1981年広島大学医学部卒業。
国立呉病院(現:国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター)、
広島大学大学院医系科学研究科脳神経外科学教授などを経て、2020年から現職。

 広島県内で3番目の人口約22万人を擁する工業都市・呉。勤労者医療を中心に発展してきた中国労災病院に2020年4月、新院長が誕生した。

地域を見て役割を考える

 広島大学脳神経外科学講座の教授職を2020年3月に退き、同年4月、中国労災病院院長に就任した。

 「ここ呉医療圏は、隣接する広島中央医療圏との車の往来が多く、広島中央医療圏から流入する患者さんが増加しています。当院にも、広島中央医療圏にある東広島市から、多くの患者さんがお見えになります。当面この傾向は続くでしょう」と地域の現状を見る。

 中国労災病院は労働者健康安全機構が運営する労災病院32施設の中の一つ。地域の救急・急性期医療、勤労者医療を支え、付随するリハビリテーション医療でも力を発揮。地域周産期母子医療センター、県がん診療連携拠点病院、県災害拠点病院などの指定も受ける中核病院だ。

 「今後、この地域の医療のさらなる充実を図っていくためには、今よりも少し広域の視点を持ち、2次医療圏にとらわれない地域の環境や人の動きを考慮に入れた対応が必要になるのではないか」。その中で、自院が果たすべき役割は小さくないと考えている。

脳卒中対策を地域に広げたい

 脳神経外科医として長年、臨床・教育・研究に関わってきた。自家頭蓋骨由来間葉系幹細胞を用いた脳梗塞に対する再生医療研究、広島大学病院へのスマート手術室「SCOT」導入など、華やかな実績も多い。同時に、地域連携という地道にも見える活動にも力を注ぐ。

 常に考えていたのは「どうしたら、脳卒中患者の後遺症を軽減できるのか」ということ。発症早期の治療開始が欠かせないことから、自治体、医師会などとの連携に積極的に取り組み、早期治療実現のため多方面からアプローチしてきた。

 広島市や市医師会、病院などが参加した「脳血管内治療における救急医療体制(病院前救護)検討部会」では、部会議長として、兵庫医科大学脳神経外科の吉村紳一教授ら開発の「病院前脳卒中病型判別システム (JUST Score)」を活用した救急搬送体制構築に尽力。

 システムは、救急隊員が現場で血圧の値、まひや頭痛の有無などを入力すると、可能性が高い病型を画面に提示。病型に即した受け入れ病院を、搬送+治療開始までの時間順にリストで表示する。

 「運用から8カ月間の中間データの解析では、重症脳卒中患者について救急隊員の医療機関への交渉回数が有意に減少しています」。中国労災病院赴任後は、呉市役所・消防署でも、このシステムについて説明するなど、連携と脳卒中対策の拡大に向けて動き始めている。

患者第一 その前提に職員

 中国労災病院の理念は「患者中心の良質な医療と地域医療への貢献」。「言い換えるなら、『ペイシェント・ファースト(患者第一)』。それをいかに具体的に実践していくのか、考えるのが私の役目です」

 着任直後からCOVID―19の対応に追われる中でも、第一に考えるのは患者・地域のこと。ただ、その実現の前提に必要なのは、病院職員全員の健康・安全だと考える。

 「COVID―19によって、病院は、感染拡大を防ぎながら通常の医療提供体制を維持する必要が出ている。職員も、患者さんを守るための感染対策などの負担が増えています」

 だからこそ、高い意識で業務に従事する職員を目にするたびに、決意を新たにする。「職員を守ることが病院、そして私の責任。安心して仕事ができる環境をつくっていきたい」


広島県呉市広多賀谷1-5-1 ☎️0823-72-7171(代表)
https://www.chugokuh.johas.go.jp/

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