九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

地域医療に貢献できる精神科医を育成

地域医療に貢献できる精神科医を育成

下田 和孝 主任教授(しもだ・かずたか)
1983年滋賀医科大学医学部卒業。米ノースカロライナ大学
チャペルヒル校、スウェーデン・カロリンスカ研究所附属フディンゲ病院、
滋賀医科大学精神科神経科講師などを経て、2007年から現職。

 下田和孝主任教授が率いて15年目となる獨協医科大学精神神経医学講座。この間、医局員の増員、論文発表などの業績も向上した。その原動力は「栃木県の精神医療を支え続ける」という強い思いだ。


―精神科医の育成に力を入れられています。

 栃木県の精神科医師の多くが当講座出身で、地域医療との結び付きが非常に強く、県内の精神科医療を支えてきた歴史があります。その中で大学は教育機関として、地域に役立つ人材をいかに輩出するかという役割を担っています。

 私は「3点セット」と呼んでいますが、医局に入ったら精神保健指定医、精神科専門医、そして学位(博士号)の取得を目指してほしいと思っています。ただし、論文作成や資格取得は、日々の診療の積み重ねです。そのため月曜日ごとに前週に入院した患者さんのサマリーを全員で確認。場合によっては患者さんと面談も行うなどして、書類の内容や書き方に問題がないか、小さなところから徹底して指導しています。

 本学の建学の精神は「学問を通じての人間形成」、私も医局員はわが子のように思っています。臨床能力はもちろんですが、彼らが地域医療のリーダーになった時に必要な管理能力を身に付けてほしいですね。いずれ責任のある立場になっていくために必要なことも、しっかりと教えていきたいと思います。


―臨床や研究について。

 精神科領域の全てをカバーしつつ、難治療のそううつ病や統合失調症であったり、身体合併症があったり、一般病院では対応が難しい症例を担っています。具体的には、自殺企図によって全身にやけどを負った患者さんであったり、骨髄移植が必要な統合失調症患者であったり、高度医療と精神医療を同時に行うケースなどが挙げられます。

 いまや600万人を超えていると言われる認知症の患者さんに対しては、私がセンター長を兼任する認知症疾患医療センターにて対応しています。当センターでは認知症の診断、治療に早くから取り組んできており、その実績を今後も引き継いでいきます。

 さらに2021年5月には、児童思春期外来を開設しました。非常にニーズが高い分野ですが、私としては専門医に担当いただくという体制を整えた上で開設したいという思いがありました。ようやく適任者を得て、開設に至っています。

 また本学は災害支援の取り組みが非常にスピーディーです。新潟県中越沖地震や東日本大震災の際には、まだDPATが結成されていない時期ながらも、いち早く精神支援に赴いています。コロナ禍においても、20年3月に中国・武漢からの帰国者に対する精神支援に協力しました。

 研究では精神薬理学研究や病態研究を行ってきましたが、今後は若手を中心に、大学病院ならではの他科との共同研究も進めていきます。例えば、糖尿病の患者さんに対して、どのような心理的なことが改善に影響していくのか、あるいは異常肥満の患者さんになんらかの精神的疾患があるのではないかなど、診療科間の垣根が低い本学の土壌
を生かした研究を進めていくつもりです。


―講座の運営について。

 任期はあと1年半。ずっ大切にしているのが「医局は預かりものである」という意識です。なんとかいい形で次にバトンタッチしたい。ここ数年は地域精神医療の基幹病院にコンスタントに人材を派遣でき、論文発表も活発です。切磋琢磨(せっさたくま)しながら実学と礼儀を身に付け、お互い助け合える講座であってほしいと願っています。

 精神医療は、医療全体からすれば側方支援だと思います。平田幸一副学長が言われたのですが、「精神科とはお寺のようなもの」。多くの方にとって、なくてはならない心のよりどころであり続けたいと思います。



獨協医科大学 精神神経医学講座
栃木県壬生町北小林880 ☎0282―86―1111(代表) https://dept.dokkyomed.ac.jp/dep-m/psy/

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