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地域ニーズに応える真の医療人を育成

地域ニーズに応える真の医療人を育成

高知大学医学部附属病院 医療人育成支援センター
センター長(おりはし・かずまさ)

1982年広島大学医学部卒業。米アルバート・アインシュタイン医科大学、
広島大学大学院医歯薬学総合研究科准教授などを経て、2016年から現職。
高知大学医学部外科学(外科二)教授兼任。

 医学部学生の臨床教育から始まり、卒後教育やリカレント学習、地域医療研修などの生涯教育をシームレスに支援する医療人育成支援センター。2016年の設立から5年目、「これからの医療人」のあり方が浮き彫りになってきた。

─センターの役割は。

 高知県では、医療再生機構の中に「高知県臨床研修連絡協議会」が設置されています。県内の研修を行っているすべての病院が定期的に集まり、多くの研修医が高知県にとどまってくれるよう、さまざまな取り組みを話し合い、アピールしています。

 高知県の医師不足は深刻です。私が赴任してきた2011年ごろ、「高知になんとか優秀な医師を残したい。仲間を増やしたい」と、若い医師が、私のところに相談に来たのです。若い医師たちの思いに応えようと、医療人育成支援センターの前身である初期臨床研修のセンター長を引き受けました。さまざまな活動を通じて、1学年で40人ほどだった研修医が、50〜60人に増加。2020年はマッチングが70人に届きそうで、県内病院もほぼフルマッチとなり、ようやく実を結び始めてきたと実感しています。

 当センターの役割は、卒前教育から卒後初期研修、キャリア形成までを一貫して支援することで、専門医研修を含め指導医のサポートも行っています。県の協議会や県内の病院ともスムーズに連携しながら、さらに充実を図っていきます。

─研修医など若手を取り巻く環境は。

 近年、患者さんの高齢化が進み、数多くの併存疾患や既往歴を持つ方が増え、内服薬の数も多くなっています。治療に当たっては、それらもきちんと把握しておかないとトラブルが起こってしまうこともあります。キャリア形成で専門医の取得は大切ですが、それは基盤となる幅広い知識の上にあるべきものです。患者さんの立場に立ったとき、「医師であれば全部を診てくれているだろう」と思うのが当然でしょう。その期待に応えられる人材を育成するのが私たちの役割です。

 しかし、今は習得しなければならないことが非常に多くなっています。私が卒業した頃は、CTやエコーも登場したばかりで解像度も低く、MRIはまだ影も形もありませんでしたが、今はそれらもすべて習得する必要があり大変です。私の専門である心臓血管外科でも急速な進歩のため、習得すべき内容も用語も膨大になっています。

 そこで、それらをぎゅっとまとめた教材があれば、他の領域の人にも役立つのではないかと考え、コンパクトマニュアルを出版しました。他の領域でもこのような教材を準備し、電子版のようにすぐアクセスすることができるようにすると良いでしょう。こうやって情報面を支援し、むしろそれをいかに活用するかに、もっと注力することがこれからは重要になると思います。

─医師が学ぶべきことは。

 医師として、相手にするのは人です。人と接することはどういうことなのかを、しっかりと学んでほしいと思います。

110渡橋氏監修の研修医マニュアル

 患者さんは高齢の方が多く、若い研修医からするとかなりギャップがあると思います。患者さんや家族との信頼関係は、自分から動かないと得られません。そのためにはどうアプローチをしていくのか。話術だけでは、すぐに見透かされます。心身を磨くというのは教科書にはなく難しいものですが、幸いにして高知大学の指導医には人と真正面から向き合う方が多く在籍しています。

 私たちセンターはそれを脇から支え、将来の医療に必要とされる人材育成のサポートをしていきます。


高知県南国市岡豊町小蓮185―1
☎088―866―5811(代表)
http://www.kochi-ms.ac.jp/~sotu5/

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