九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

地域や大学と連携 良質な医療の継続を

地域や大学と連携 良質な医療の継続を

産業医科大学若松病院
藤本 直浩 病院長(ふじもと・なおひろ)

1984年島根医科大学医学部(現:島根大学医学部)卒業。
産業医科大学泌尿器科、米ウイスコンシン大学、
米ロチェスター大学などを経て、2020年から現職。
産業医科大学医学部泌尿器科学講座教授兼任。

◎感染症対策とともに 医療経営の改善へ

 当院の前身は1891(明治24)年に開設された遠賀郡立若松分院で、1914(大正3)年に北九州市立若松病院となり、2011年に産業医科大学若松病院として開院いたしました。この間、長きにわたり地域の中核的病院の機能を果たしています。

 2020年4月から私が4代目の病院長として受け継いでいます。折しも赴任後は新型コロナウイルス感染症対策に多くの時間を費やすこととなりました。このような重大な問題が生じた時に、各職員、病院の実力が試されると同時に業務改善のきっかけにもなると考え、職員一丸となって新型コロナウイルス感染症に対応しています。この国難とも言うべき感染症が収まった後には、医業収益改善に注力したいと思っています。

 良質な医療を継続していくためには、良好な病院経営が求められます。当院の経営状況は順風満帆とは言えません。経営収支の改善を推し進め、より良い医療の提供、職員の労働環境改善が可能になるように努めていく所存です。そして、医療を提供する側が最も重要視すべき「患者さんの満足度」を常に意識しながら、皆さまに必要とされ、またご満足いただけるような病院であり続けるよう努めていきます。

 このような目的を達するためには職員の理解と頑張りが必須です。そのため、まず可能な限り、多くの職員を知ること、コミュニケーションをとることから始めたいと思います。

◎地域や大学との連携を充実・発展

 高齢化が進む地域の特徴もあり、2018年1月から地域包括ケア病床17床を開設しました。疾患や症状の重症度だけでなく、生活を見据えた看護・介護の視点を重要視した在宅復帰の支援を行っており、これを充実・発展させていきたいと思っています。

 近隣の医療機関の先生方との連携は、非常に重要です。この連携を円滑に行うことにより、医療機関だけではなく、患者さんにとって大きなメリットがあると考えます。当院は、ほぼすべての診療科をそろえており、幅広い疾患に対応できるようにしています。「どの科に紹介してよいか迷う」というときには、総合外来をご紹介いただければ、担当医が毎日対応するよう体制を整えています。

 設備などの問題で、当院だけでは診療できない疾患は、産業医科大学病院と密に連携。多種多様な疾患に対応できるよう、各診療科において、診療内容の再編を行っています。

 例えば私の専門領域である泌尿器科では、膀胱(ぼうこう)、前立腺の内視鏡手術、尿路結石のレーザー手術、入院を必要とする検査、がん薬物療法などを当院で実施。ロボット支援下手術、進行がんに対する手術、リスクの高い手術・治療などは産業医科大学病院で行うような機能分担を図っています。今後も各診療科において病院の診療機能分担を進め、効率的な診療を加速させていきます。

◎高度な専門医療と医療人の育成に注力

 幅広い疾患に対応すると同時に当院の特徴を考え、それを伸ばしていく予定です。例えば、関節鏡手術はアジアでも最も多い手術実績があり、日本全国から専門的治療を求めて多くの患者さんが受診されています。このような当院の強みを生かし、地域の皆さんはもとより、幅広い地域の皆さんに高度な専門的医療を提供していけるようにしてきたいと思います。

 また、産業医科大学で人事を一括管理しており、当院には医師、看護師をはじめ若い職員が多く、さらに、医学生、看護学生、リハビリテーションなどの学生の臨床実習施設でもあります。教育にも力を入れ、将来の医療をけん引していけるような人材を育てていきたいと思います。

産業医科大学若松病院
福岡県北九州市若松区浜町1-17-1 ☎️093-761-0090(代表)
https://www.uoeh-u.ac.jp/wakamatsu.html

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