九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

地域の高齢化に向き合う

地域の高齢化に向き合う

医療法人社団坂梨会 阿蘇温泉病院
院長(よこやま・よしき)

1981年熊本大学医学部卒業。
公立玉名中央病院、医療法人東熊本病院、
阿蘇温泉病院消化器科部長兼内視鏡センター長などを経て、2019年から現職。
阿蘇温泉病院管理者兼任。

 阿蘇地域で260床を有する阿蘇温泉病院。病院長に就任した横山芳樹氏は、大きな課題である高齢化に正面から向き合い、さらに職場環境の整備を進め、職員の幸せも向上させたいと語る。

温かさに触れ非常勤から常勤へ

 横山氏と阿蘇温泉病院の接点は2016年6月。友人に誘われ、非常勤で通うことになった。

 「当時は療養専門の病院に勤務していましたが、内視鏡の手伝いや週1回の当直ぐらいならできると、非常勤として通い始めたことがきっかけです」

 常勤で働こうと決意させた、その頃の思い出深いエピソードがあるという。夜遅く、ジュースを買うために一般病棟の玄関付近を歩いていた際、看護師らしきスタッフとすれ違った。

 「すると、私を入院患者さんの見舞いに来た人だと勘違いしたらしく、『深夜にお見舞いご苦労さまです』とあいさつされたのです。小さなことかもしれませんが、この病院の温かさを感じましたね」
 働きやすい環境であること、専門である消化器外科医として役に立てることが多いと感じたこともあり、同年9月に常勤医として勤務することになった。

グループ内連携で高齢者を支える

 2019年12月、横山氏は院長に就任。地域の中核病院を指揮する立場となった今、阿蘇地域の高齢者に意識を向けている。

 「山間地の阿蘇地域はかなり高齢化が進んでおり、当院でも入院患者のほとんどが後期高齢者です。治療やリハビリによって患者さんを元気にして、自宅へ戻っていただくことを目標にしていますが、難しい人も多いのが現状です」

 自宅での生活が難しい患者には、グループ内の介護老人保健施設やデイサービスセンターの利用を促し、患者の生活そのものを支える。今後はこの連携を、さらに強化したいと語る。

 「高齢の患者さんに対する取り組みとして、院内に多職種の栄養サポートチーム(NST)を結成しました。患者さんの多くは低栄養で、特にたんぱく質が不足しています。これでは筋肉が付かず、リハビリもうまくいきません」。栄養面から管理し、患者ができるだけ長く自分の口で食べられ、自分の足で動けるように手助けしている。


働いて良かったと思える病院に

 高齢者に対するフォローと同時に、横山氏は足元の病院運営でもさまざまな指針を打ち立てようとしている。中でも重視しているのは「職員の幸せや満足度の向上」だという。

 「職員の満足度が下がると、離職率が高くなります。その分を派遣スタッフなどでカバーすると、医療の質が不安定になり、出費も大きくなってしまいます。これを避けるためには、今働いている多くの職員が『この病院で働いて良かった』と思える職場づくりが重要です」

 今後の施策の一つとして、まず専門部署を設けて、院内アンケートを実施すること。同僚とのコミュニケーションなどに問題はないかなどを定期的に聞き出している。設備面では、新たな寮を建設中で、遠方から就業を希望する職員が快適に過ごせる住まいを提供していく。さらに、キャリアアップを目指す職員が満足できる教育体制、設備も充実させる予定だ。

 最後に、個人的な展望を語ってくれた。

 「私自身も高齢になり、患者さんの気持ちが分かってきましたし、実感としてアドバイスできることも増えました。そう考えると、年を取るのも悪くない。まだ大人の階段を上っている途中だと考え、今後も成長の気持ちを忘れずに頑張りたいと思います」

医療法人社団坂梨会 阿蘇温泉病院
熊本県阿蘇市内牧1153-1 ☎0967-32-0881(代表)
http://asospahp.jp/onsenhospital/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

メニューを閉じる