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地域の要となる病院に必要なものとは

地域の要となる病院に必要なものとは


院長(すみとも・まさゆき)
1981年徳島大学医学部卒業。
国立療養所東徳島病院(現:国立病院機構東徳島医療センター)、
徳島県立中央病院副院長などを経て、2014年から現職。

 吉野川流域にあり、四国有数の渓谷美を誇る景勝地などで知られる徳島県西部地域。この山間地の地域医療を守る〝要〟としての存在を目指しているのが徳島県立三好病院だ。2019年4月からは新たに初期臨床研修医を採用。住友正幸院長が考える、今、必要な医療とは一体何か。

—医師の教育に積極的に取り組んでいます。

 4月、初期臨床研修医を採用しました。「にし阿波初期臨床研修プログラム」の一貫で、西部圏域で唯一の救命救急センターを持つ当院を中心に、三つの病院と二つの診療所が共同で教育にあたっています。

 プログラムのテーマの一つは「病を通して生(活)を診る」。当院は急性期の病院ですが、地域の高齢化が進んでおり、それに伴って高齢のがん患者さんなどを診る機会も少なくありません。

 合併症なども多くありますので、医療を提供する際にディジーズ(疾患)だけでなくイルネス(病気に伴う不安など)を治す力も必要です。患者さんの生活背景や人生経験などを考慮しながら対応するためには、患者さんの語る物語に耳を傾けることも大切になるでしょう。

 急性期の治療を終えた後に患者さんがどのような生活を送るのか、生活できるのかを考える力も養ってほしいと思います。そのような研修ができるのも、地域に密着した当院ならではの特徴だと考えています。医療の本質に踏み込むことができるチャンスではないかと考えています。

 また、長野県の諏訪中央病院も研修協力病院です。諏訪中央病院は地域医療の充実に積極的に取り組んできたさきがけのような病院です。

—医師に必要なことは。

 日野原重明先生は、医師にとって必要な力はサイエンスとアートだと言われていました。サイエンスが医療技術であれば、態度や心構えといったエビデンスで測ることができないような、目に見えない力をアートと言われているのですね。

 患者さんに、質の高い医療を受けていただくためには、サイエンスとアートを兼ね備えた医師を育てる必要があると思います。

 医療技術を追い求めることも大切ですが、そのことによって「患者さんを幸せにする」という医療の本質がぶれることのないようにしていきたいですね。病院にとっても医師の教育に取り組むことは、医療の質を上げるきっかけになると考えています。

 当院が目指しているのはこの地域で患者さんが安心して暮らせる環境づくり。患者さんと一緒に地域をつくっていけるような存在になれたらと思っています。

—病院運営の取り組みは。

 がん医療と救急医療を二つの大きな柱として運営していく方針は、基本的に変わりません。医療の質を上げ、加えて優しさのある急性期病院でありたいと考えています。

 看護師のスキルアップも重要な課題です。特定専門領域において、より専門技術の高い看護師を育成するために院内認定看護師制度を実施。現在、認定看護師が14人も育ってきています。

 また、西部医療圏の高齢化の進行は予想以上に早い。しかし、この地区にはまだ回復期リハ病棟がありません。そのため、隣接する香川県などに患者さんが出て行かざるを得ないのです。医療を地域で完結する意味でもセラピストの雇用に力を入れるなど、準備を進めています。

 緩和ケアの充実も、医師としての私のテーマの一つです。患者さんと接する中で、体の痛みを取るだけではなく、もっと精神的な痛みに目を向けたいと考えるようになりました。痛みを取り除くことで日々を「良く生きる」ことが緩和医療の目的の一つなのだと考えています。今日一日をどうより良く生きるのか。患者さんと一緒に見いだしていきたいですね。

徳島県立三好病院
徳島県三好市池田町シマ815―2
☎0883―72―1131(代表)
http://www.miyoshi-hosp.jp/

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