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地域の現状を見据えて実践的な教育、臨床の場に

地域の現状を見据えて実践的な教育、臨床の場に

九州歯科大学附属病院  病院長(とみなが・かずひろ)
1982年九州歯科大学卒業、1986年同大学院歯学研究科口腔外科学専攻卒業。長崎大学歯学部、
文部省在外研究員(スウェーデン・カロリンスカ研究所)などを経て、2016年から現職。


 1914年の開設以来、北九州地域の歯科医療で中心的な役割を果たしている九州歯科大学附属病院。歯科に特化した大学附属病院を率いる冨永和宏病院長に、高齢化に対応した臨床と教育、地域連携や展望について聞いた。

―九州歯科大学附属病院の特色を教えてください。

 当院は一般歯科や口腔外科といった臨床はもちろん、九州歯科大学の専門教育を担う場でもあります。臨床研修医や専門医を目指す方の指導のほか、卒業後のリカレント教育も行っています。必要な知識を病院内で学ぶことができる登録研修医制度もあり、約30人が登録しています。

 臨床では1日約500人の患者さんを一般外来で受け入れる一方、地域の関係機関と連携して、口腔外科の手術や全身麻酔下の歯科治療、他疾患により全身管理が必要な歯科治療など、高度な専門性が求められる症例に対応しています。

 例えば「あんしん科」では、障害や病気などの理由で歯科治療が難しい患者さんに対して、歯科麻酔と障害者・有病者歯科を専門とした歯科医師や歯科衛生士が歯科治療を行います。この診療科では、意思疎通が難しい方、歯の治療を怖いと感じ、治療に困難をきたす方も受け入れています。

 「口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)センター」では、小児科や耳鼻咽喉科など院外の関係施設と連携し、出生後早期からのチームアプローチを実践しています。

 妊娠中の超音波検査で口唇口蓋裂が認められた場合、ご家族のカウンセリングから出産後の哺乳指導、手術、矯正治療、口腔衛生指導などを成人まで一貫して行っており、2018年度からは、言語聴覚士と提携して言語訓練も実施しています。

 顔面や口の痛み全般を扱う「オーラルペインクリニック」は、全国でも珍しい診療科です。


―超高齢社会に対応した歯科治療とは。

 院内では「口腔環境科」として、高齢者や要介護の方の歯科疾患や摂食嚥下(えんげ)リハビリを行っていますが、在宅や施設で療養する方の歯科治療や口腔ケアは十分とは言えず、課題の一つだと感じています。

 2018年に開設した「地域包括歯科医療センター」は、病気で一般の歯科診療所に通えなくなった方の歯科的治療や口腔ケアを担っています。訪問診療車で自宅や施設、病院へ歯科医と歯科衛生士が伺って治療や口腔ケアを行うもので、訪問範囲は当院から半径16㌔。嚥下機能評価、摂食嚥下リハビリ、舌がん術後患者への摂食機能療法などが可能です。

 母体である九州歯科大では、摂食嚥下障害の専門家を育成する教育機関「口腔保健・健康長寿推進センター(DEMCOP)」を開設しています。当院だけで、できることは限られています。教育を通して、ノウハウを福岡県内全域に広げていければと考えています。


―今後の展望を聞かせてください。

 超高齢社会を迎え、シニアの患者さんが多くなり、医科との連携が必須になっています。

 例えば、急性期病院の製鉄記念八幡病院に歯科医を派遣し、手術前後の口腔ケアを行っています。回復期や慢性期を担う新栄会病院、西野病院とも連携し、当院の医師に歯科医や歯科衛生士を目指す学生を同行させ、学生のころから臨床を体験させています。

 医科歯科連携の取り組みは、必要性を感じていても互いになかなかきっかけが見いだせないのが現状だと思います。現在はできるところからですが、より連携を深めていければと考えています。

 北九州市は、政令指定都市の中で最も高齢化が進んでいますが、総合病院など医療資源が充実している地域でもあります。その環境をプラスととらえて、地域の方々により良い医療を提供していきたいですね。


九州歯科大学附属病院
福岡県北九州市小倉北区真鶴2─6─1
☎093─582─1131(代表)
https://www.kyu-dent.ac.jp/hospital/

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