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地域の実情を見つめて一人ひとりが輝く病院へ

地域の実情を見つめて一人ひとりが輝く病院へ

 小阪 真二 病院長(こさか・しんじ)
1986年京都大学医学部卒業。倉敷中央病院、
仏トゥールーズ大学ピュルパン病院胸部外科医員、
島根県立中央病院呼吸器外科診療部長などを経て、2017年から現職。

 救命救急センターを有し、高度で専門的な医療を提供する島根県立中央病院。小阪真二病院長に病院の近況や総合診療への思い、今後の展望を聞いた。

―強みを教えてください。

 やはり一番の強みは救急です。2011年6月より運用を開始したドクターヘリは現在、年間で約500回運航しています。屋上にヘリポートがあるので効率的な移動が可能。給油施設もあり、基地局として稼働しています。

 入院も4割が予定で、6割は即日という比率です。スタッフは救命救急医が充実しているという特徴があります。また、総合診療医も多く、救急医療体制に厚みを与えています。

 急性心筋梗塞の対応など、循環器領域を得意としているのも強みの一つです。昨秋、外科手術の設備と血管撮影装置を組み合わせたハイブリッド手術室を整備しました。今後、放射線療法と手術療法の融合はさらに進んでいくと思います。

 大動脈瘤(りゅう)の治療法であるステントグラフト手術についても積極的に行えるようになりました。現場からも使い勝手が良いと好評です。また、臨床教育・研修支援センターを新たにつくり、医師に加えて看護や医療技術職の全員が参加できる研修の場を設けました。接遇研修などは看護局主催で研修医が入るなど、一体化を進めています。


―総合診療への思いが強いのですね。

 私たちは一貫して総合的に学んでもらう方針です。超高齢社会において、幅広く診療できる医師の育成は欠かせません。専門性ごとのチームから、総合的に、チーム医療で解決していくという意識改革を進めたいと考えています。

 そこで、さまざまな立場のスタッフが多面的に関われるような仕組みを考えたり、病院総合医のプログラムを立ち上げたりと、道半ばですが、取り組みをスタートしています。

 例えば、足の骨が折れた患者さんには整形外科の主治医が付くことになります。10月から、併存疾患の糖尿病や高血圧などのケアについては総合診療医が担当します。一つの病気が治っても他の病気が悪化したら意味がありません。

 仏教に「帝網重々主伴無尽」という言葉があります。一人の輝きが隣を輝かせ、全体が一体となってさんぜんと輝いている様子を言います。特にこれからの医療においてワンマンチームはあり得ません。自分が治療して終わりではなく、例えばそれを研修医に教えて病院全体の力を底上げすれば、もっとみんなが輝きます。そんな意識を持ってもらいたいと思っています。


―今後の展望を。

 一番大事なのは「地域に必要な医療を公平・公正に提供すること」です。この理念は不変かもしれませんが、地域が必要としている医療は変わり続けます。これからは、ただ治す医療から治し支える医療になっていきます。骨折は治せますが、骨のもろさや転倒のしやすさは変えられませんよね。これを地域でカバーする必要があります。地域との連携を考えてつくった、入退院支援・地域医療連携センターには看護師などを多数配置しています。地域としっかりとつながっていなければ、病院は成り立っていきません。今後は退院前後の訪問指導に力を入れていきます。また、特定行為研修は8月からで申請中です。院内限定ではなく、地域の看護師も受け入れます。しまね医療情報ネットワーク「まめネット」も情報共有しやすくなりました。

 テレビ会議システムや健診情報の共有などもカバーしていますが、システムに完成はありません。地域に必要な医療を把握し、定期的に情報ツールの見直しも行いたいと考えています。


島根県立中央病院
島根県出雲市姫原4―1―1
☎0853―22―5111(代表)
http://www.spch.izumo.shimane.jp/

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