九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

地域の多様性に合わせた医療体制の構築を目指す

地域の多様性に合わせた医療体制の構築を目指す

 土橋  和文 病院長(つちはし・かずふみ)
1981年札幌医科大学医学部卒業、同内科学第二講座入局。同准教授、
同医学部病院経営・管理学教授(附属病院経営管理部長)、
同附属病院副院長(経営担当)などを経て、2018年から現職。


 北海道は広大な面積を有するがゆえに、多様な暮らしや文化が存在する。医療ニーズも地域性によって異なるのが実情だ。「それぞれに適した体制を、時代の変化を見据えながら構築していく必要がある」と語るのは札幌医科大学附属病院の土橋和文病院長。同院の役割と、地域医療の今後について聞いた。

―教育方針について教えてください。

 北海道にある医学部は本学、北海道大学、旭川医科大学です。全体の特徴としては、各大学が独自色のある教育を実践し、ときに協力しながら医療者を育てている点だと思います。

 札幌医科大学の開学は1950年です。2007年には、さらなる地域への貢献を目指し、地方独立行政法人化によって「北海道公立大学法人札幌医科大学」として新たなスタートを切りました。

 開設時から続くのは「自治」を重視した教育です。学生数に対する教員の数の手厚さは全国でも上位。その多くは臨床医で、地域医療に直結する学びを推進しています。

 そうした教育環境の充実も後押しとなって、医学部の入学者の8~9割が北海道の出身者で占められています。学生たちは、本学の「北海道の医療を支える人材の輩出」というミッションを理解し、積極的に携わりたいという志を持って入学します。そして、多くの卒業生が道内の医療機関に勤務します。

―現在、どのような課題があると思われますか。

 国土のおよそ5分の1もの広大な面積があり、多雪で寒冷という気象的な特性があることから、北海道の救急医療領域では「航空医療輸送」が重要な役割を果たしています。

 札幌医科大学附属病院は道内で唯一の高度救命救急センターです。1983年にヘリポートを設置。ヘリでの搬送が始まりました。

 2017年には、医療用ジェット「メディカルウイング」が就航。短時間で遠距離の搬送が可能です。道外、さらには国境を越えた医療連携なども視野に入れています。

 明治以降、日本の各地から入植した移民によって開拓された北海道には、地域ごとにさまざまな歴史的な背景、文化があります。

 ですから、それらを踏まえて保健や介護、福祉といった医療に関連する施策を展開する必要があり、さらに人同士のつながり、地域の特性なども考慮しておくことが大切なのです。

 そこで、北海道医療計画では179圏域からなる第1次医療圏、21圏域からなる第2次医療圏、6圏域からなる第3次医療圏を定めており、医療資源の適正な配置、医療供給体制の確保を図っています。

 団塊の世代が75歳以上となる2025年が到来する前に、すでに道内には「2025年問題」に直面している地域もあります。

 少子高齢化、人口減少が進行し、医療者の高齢化という問題も深刻化しています。道内の全域にインフラである医療を行き渡らせ、安定的に供給していくためには、地域ごとに拠点となる医療機関を定め、機能の集約化を推し進めていくことが求められています。

―病院の整備計画が進んでいます。

 附属病院の建物の多くは築35年を超えています。これからの医療に対応できる環境を整えるために、段階的に改修工事に着手しているところです。

 従来、手術室の最も近くに外科系、次に内科系を配置していました。診療科間の連携の重要性が増していることから、「臓器に関連した診療科」の配置へと再編します。また、高度救命救急センターの整備も進行しています。

 昨年9月の北海道胆振東部地震では想定外のブラックアウトが発生。有事の際に、人工透析や在宅酸素療法の患者さんをどうやって支えるかが問題視されました。この教訓を今後に生かしたいと思います。


札幌医科大学附属病院
札幌市中央区南1条西16─291
☎011─611─2111(代表)
http://web.sapmed.ac.jp/hospital/

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