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地域の医療水準高める 人材確保も急務

地域の医療水準高める 人材確保も急務

宮崎大学医学部 外科学講座 呼吸器・乳腺外科 富田 雅樹 病院教授(とみた・まさき)
1988年宮崎医科大学(現:宮崎大学医学部)卒業、1996年同大学院医学研究科博士課程修了。
宮崎大学医学部第二外科医局長などを経て、2015年から現職。

 宮崎県内の高次救急医療から若手医師の育成までを担う宮崎大学医学部。外科学講座呼吸器外科では、県内の肺がん治療の拠点整備など地域医療に力を入れている。県内初のロボット手術導入も控える中、現状と課題を聞いた。

―宮崎県の現状と近年の取り組みは。

 肺がんの患者数としては、この2、3年ほぼ横ばい。気になるのは全国平均と比べて局所治療を実施した数が少ないことです。手術は約3割、放射線治療を入れても4割に達していない。全国では約5割ですから、やはり少ない。進行した状態で見つかった例もあるでしょうが、人口比率から見て、患者数自体がもっと多いはず。今はCT検査が山間部であっても市町村検診で受けられるようになっています。積極的に活用してほしいですね。

 現在、治療は手術が中心です。化学療法については内科にお願いするケースが多いのですが、内科、放射線科とも一緒にカンファレンスも行っており、スムーズに治療が進められています。

 手術は胸腔鏡手術が中心で、患者さんの負担も以前より減ったと思います。体力など問題がなければ、90歳以上でも手術に踏み切ることができます。肺がんも早期発見できれば根治できることを、アナウンスしていく必要があると感じています。

―全国的に医師不足が課題になっています。

 宮崎県も例外ではなく、県央地域以外は専門の医師が足りていませんし、山間部では医師不在の地域もあります。

 呼吸器に関して言えば、3年ほど前に県立延岡病院に呼吸器外科を開設し、すでに年間120例以上の手術をしています。それまでは県外の病院に治療に行っていた患者さんもいましたが、数年に1度あるかないかという難手術でない限りはしっかりと対応できるよう、地域の医療水準を高めたい。それはわれわれ大学病院の責務だと思います。

―宮崎大学医学部附属病院に、手術支援ロボット「ダビンチ」が導入される予定だそうですね。

 今年9月を予定しています。10月にまず泌尿器科で手術を開始し、呼吸器外科では11月ごろに始めたいと思っています。

 ダビンチの術者側のメリットは、座って手術ができるため、負担が少ないことや、3D画像なので、より立体的に患部の様子を確認できることでしょう。

 また、腹腔鏡手術と比べて鉗子の角度や向きの自由度が高いため、慣れてくれば、手術時間を大きく短縮できるかもしれません。患者さんにとってより良い治療ができるよう検証を重ねながら、症例を積み重ねていきたいと思っています。

―今後、注力されたいと考えていることは。

 切除不能がんを抗がん剤などで小さくした後に切除する「サルベージ手術」への対応でしょうか。

 手術で腫瘍を取り除くことできれば、根治を目指すことが可能になりました。ただ、化学療法後は血管がもろくなって剥離(はくり)がしにくいなど、手術の難易度が上がります。しっかりと対応できるよう、術者の育成をしていかなくては、と思っています。

 技術の進歩は大切ですが、医療はやはり「人」が行うものです。人材の確保は急務ですね。

 外科学講座は外科医を目指す若手医師の育成を目的に模擬手術などを体験できる「MANGOU(マンゴー)プロジェクト」を実施しています。

 呼吸器外科では、難易度があまり高くない症例の場合には、若手医師に執刀してもらうようにしています。上級医師がきちんとサポートすることが大前提で、難しい場面になれば、交代することもありますが、執刀経験を積んでもらうことで、外科の魅力を感じてもらいたいと願っています。

宮崎大学医学部 外科学講座 呼吸器・乳腺外科
宮崎市清武町木原5200
☎0985―85―1510(代表)
http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/surgery/thoracic_and_breast_surgery/Welcome.html

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