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地域の医療体制を考慮し 入院専門の病院を開設

地域の医療体制を考慮し 入院専門の病院を開設

医療法人社団永生会 
飯田 達能 院長(いいだ・たつよし)

1984年日本大学医学部卒業。
国立循環器病センター(現:国立循環器病研究センター)、
医療法人社団永生会永生病院院長などを経て、2018年から現職。

 東京都八王子市を中心に病院・クリニックや介護施設を展開する医療法人社団永生会。その基幹となる永生病院の老朽化に伴う改修のため、機能の一部を分担し、さらには八王子市内になかった緩和ケアを提供できる病院として2018年4月にみなみ野病院が開院した。医療・介護を通じた街づくりにまい進する飯田達能院長を訪ねた。

―病院開設の経緯は。

 みなみ野地域は八王子市の南東部にあり、この地域にはこれまで回復期リハビリテーション・地域包括ケア病棟がある病院が不足していました。隣接する町田市、神奈川県相模原市はどちらも高齢化が進んでいる地域です。特に相模原市の高齢化は深刻で、慢性期の患者さんに対応した病院のニーズが高まっています。

 また、病院周辺は外来診療を受け持つクリニックは充実しているものの、入院可能な病院は不足しているような状況でした。そこで、地域周辺にある病院の特性を考慮し、外来診療は行わず、紹介により患者さんを受け入れる入院専門の病院として開院することになったのです。

―病院の特徴や具体的な取り組みについて。

 脳卒中や大腿骨骨折などの回復と自宅復帰を目指す「回復期リハビリテーション病棟」、医学的管理と介護を提供する「医療療養病棟」、がん患者さんなどの苦痛や不安を和らげる

 「緩和ケア病棟」、医学的管理、専門職によるリハビリなどを日帰りで行う「通所リハビリテーション」と大きく四つの機能を備えています。

 当院の特徴の一つである緩和ケア病棟は、がん患者さんの症状緩和がメインです。専門的な治療の他に、ドッグセラピーやアロマセラピー、「看護師僧侶の方に」週1回傾聴いただくなど、患者さんの心のケアにも取り組んでいます。

 開設前に近隣の病院にごあいさつした際、緩和ケア病棟の25床という病床数の多さに驚かれました。無謀なことかもと思いましたが、地域の方が安心して過ごせる療養環境を整えたいという一心で続けています。

 現在、緩和ケア病棟のベッド稼働率は9割前後。患者さんをお待たせしてしまっている場合、ある程度症状がコントロールできているが自宅には帰れないという患者さんについては、医療療養病棟で受け入れることもあります。このような対応ができるのは当院の強みですね。

―今後の課題、展望は。

 緩和ケア病棟を開設し、実際に診療を始めてみると神奈川県には緩和ケア病棟のある回復期・慢性期の病院はほとんどないということが判明しました。

 急性期病院の緩和ケア病棟には、患者さんを最期まで看(み)取る機能はなく、長く入院できません。当院のような回復期・慢性期の緩和ケア病棟では、患者さんを最期まで看取る機能があります。さらに、症状がコントロールできた後、自宅に帰りたい方は帰ることもできます。

 回復期・慢性期の緩和ケア病棟を持つ病院が、その特性を生かし、急性期病院と連携してこの地域一帯を支えていくことが今後の課題と言えます。そのためには、顔の見える連携が必要です。医療従事者に向けた地域連携会を定期的に開いたり、近隣の急性期病院や医師会へ出向いて話をしたりという活動は、今後も続けていくつもりです。

 現在、基本的には外来診療を行っておりませんが、今後、この地域の先生方が担えない外来、緩和ケアの外来を少しずつオープンしていけたらということも考えています。

 当院で最期を迎えられた方のご遺族から「ここを選んでよかった」というお声をいただくと、私も職員もとても励みになります。引き続き、医療を通じて地域に貢献できるハートフルな病院を目指していきたいと思います。

医療法人社団永生会 みなみ野病院
東京都八王子市みなみ野5―30―3
☎042―632―8118(代表)
https://www.eisei.or.jp/minamino/

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