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地域のニーズに寄り添う精神科医療を展開

地域のニーズに寄り添う精神科医療を展開

社会医療法人公徳会 佐藤病院 
沼田 由紀夫 院長(ぬまた・ゆきお
1984年山形大学医学部卒業。
米沢市立病院精神神経科、南陽市立総合病院神経精神科
(現:公立置賜総合病院精神科)医長などを経て、2006年から現職。

 1979年、佐藤神経科内科医院としてスタートした佐藤病院。現在、山形県内に病院、精神科クリニック、介護福祉施設など16もの施設を展開する法人グループに成長した。その原動力とは。

—今年7月、開設から40周年を迎えています。

 社会医療法人公徳会の佐藤忠宏理事長が立ち上げたのが始まりで、当初は外来のみでしたが、病院に転換し現在は3病院で417床を擁しています。

 佐藤理事長の考え方は、地域の医療ニーズを大事にすること。結果的にさまざまな機能を持つグループとして発展してきました。

 転機の一つは2006年に当院に開設した精神科救急(スーパー救急)でしょう。長年、千葉県精神科医療センターの院長を務められた計見一雄先生(現:佐藤病院顧問)が立ち上げに携わりました。

 東北、北海道地区にはまだスーパー救急を持つ病院はありませんでしたが、精神科救急の必要性を感じていた当院としては地域に役立つと考えたのです。

 また、患者さんが高齢化するとともに必要と造られたのが介護老人保健施設。

 精神科病院を退院後の患者さんの支援も必要だと、就労支援施設なども設けました。南陽市はブドウが名産です。当院は畑を借り受けてブドウ栽培も手掛けています。遊休農地の活用の相談を受けたことがきっかけでしたが、就労支援に役立っています。

 親御さんが亡くなった後、残された患者さんが地域で生きていく手段が必要ではないだろうか。就労支援はそのような課題に応える狙いもあります。

—地域の精神医療の課題などについては。

 入所者や地域の利用者さんの高齢化は当面の課題です。認知症の患者さんが増加していることにも対応しなければなりません。

 今年7月には介護関連の事業をより本格的に進めようと系列グループに新会社ができました。地域のみなさんの介護に関する相談に応じたり人材派遣を実施したりして地域の問題解決に役立つと考えています。

 2016年に米沢市立病院が精神科医の不足を理由に精神科の幕を閉じました。人口約8万数千人の米沢市に精神科病棟がなくなってはいけないと、同じ置賜地区である当院との連携が模索されました。このような経緯を経て、2017年に米沢こころの病院を開設することになりました。佐藤病院も外来患者さんの3分の1程度の約500人を引き継ぎました。

 ただ、身体合併症のある患者さんに関しては引き続き米沢市立病院でも診てもらっています。

 今後も地域の課題解決のために他の医療機関との連携は密にしていかなければなりません。

—専門はアルコール依存症。

 幅広い分野の診療を進めながら、アルコール外来やひきこもり外来、食べすぎ肥満外来、児童思春期外来など専門外来にも力を入れているところが公徳会の特徴です。

 アルコール依存については、久里浜医療センターでトレーニングを受け、診療を続けています。

 アルコール依存症は厚生労働省研究班調査によるとその疑いがある人が約292万人と言われています。

 しかし、早期治療にはなかなか至らず、肝硬変になって判明というケースもあります。依存症と診断されているのはわずか5%程度という数値もあるほどです。医学部の学生は、早い段階から依存症について学ぶ必要があると考えています。

 そこで、医療者を中心に情報を発信しようと米沢アルコール問題研究会を立ち上げ、現在も継続した活動が行われています。

 10月14日には公立置賜総合病院で、アルコール依存症に関する医療連携をテーマに講演をします。県民の健康をどのように守っていくのかという問題提起もしたいと考えています。


社会医療法人公徳会 佐藤病院
山形県南陽市椚塚948—1
☎0238—40—3170(代表)
http://satohp.koutoku.or.jp/

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