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地域のサポート医増加 子どものゲーム依存にも対応

地域のサポート医増加  子どものゲーム依存にも対応

長崎大学病院 地域連携児童思春期精神医学診療部
今村 明 教授(いまむら・あきら)
1992年長崎大学医学部卒業。長崎県精神医療センター、長崎県上五島病院、
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科精神神経科学准教授などを経て、2016年から現職。

 長崎県内で発生した重大な少年犯罪を背景に、長崎大学病院に地域連携児童思春期精神医学診療部が創設され、5年が経過した。「長崎県子どもの心のサポート医」認定制度など独自の活動に一定の成果を得て、次のステップに進もうとしている。今村明教授に話を聞いた。



「子どもの心のサポート 医」の取り組みについて。

 長崎県内の離島や北部など当院と距離がある地域を含めて、広域的に子どもの神経発達症(発達障害)などを早期発見・サポートするために始めた制度です。精神科医らに講座の受講やレポートを提出してもらい、一定の基準を満たした方をサポート医として認定しています。

 当初は年間3人ずつくらいの認定を想定していましたが、初年度の2016年は15人、翌年度は7人と順調に増え、現在までに39人を認定しました。精神科医以外の方も含めると45人と想定を大きく上回り、一定の成果が上がっているのではないかと思っています。

 長崎の地理的な構造から頻繁に集まるのは難しいため、コロナ禍前からウェブ会議システムを活用してネット研修会を行い、情報共有を進めてきました。今後は、サポート医にしっかりと子どもたちの診療をしていただくために質の向上へと方針を転換して、「サポート医のサポート」をオンライン上で行うことを検討しています。

 活動を続ける中でサポート医から受ける相談の多くは、神経発達症で対応が難しいケースです。例えば動物への虐待など暴力的な行動上の問題を持つケースや、神経発達症の症状なのか、統合失調症の前駆症状なのか、判別しにくいケースに対する相談が多く寄せられています。




―コロナ禍における子ども たちの変化は。 

 一般的な自然災害と大きく異なるのは、先が見えない不安や世の中の重苦しい雰囲気を感じ取って抑うつ状態のようになる子どもたちが多いことです。外出機会が減り、密室の空間内で家庭内弱者の子どもが虐待されるケースも懸念され、私たちが介入してサポートする必要性を感じています。

 神経発達症の子どもは二次障害としてうつ病や不安症を併発する傾向が高いです。新型コロナウイルスに感染するのが怖いというのが理由で病院に来られなくなったり、過度の不安にとらわれて手洗いを必要以上にしてしまったりする子どもがいます。

 家族で長期間家の中で過ごすと、それぞれがスマートフォンをのぞき込む時間が増え、会話が少なくなっていきます。その結果、子どもたちがゲームに依存してしまうという図式も指摘されています。



―今後力を入れることは。

 神経発達症の早期介入と二次障害についての対応を行うこと、児童虐待、子どもの依存症に関する問題についての三つです。依存症に関しては、現在、最も問題になっているのがゲーム依存です。近年は他人とネットを通じて通信できるゲームへの依存が増えています。

 難しいのは、ゲームの世界がコミュニケーションの場になっているということ。リアルの社会ではヒーローになれない子が、ゲームの世界では積極的になって仲間に貢献し、集団への帰属意識を持っています。それをそのまま取り上げてしまうと、自分の社会的生命を奪われたような感覚になってしまうケースもある。ゲームを取り返そうと、必死に抵抗して暴力的にもなることも懸念されます。

 ただ単に取り上げるのではなく、私たちが子どもの立場になって理解を深める必要があり、子どもと保護者とが一緒にリアルな社会での活動に関心を向け、長期的な視点で生活を改善する方法を見つけられるよう導いていきたいと思っています。

長崎大学病院
地域連携児童思春期精神医学診療部
長崎市坂本町1―7―1
☎095―819―7200(代表)
http://www.mh.nagasaki-u.ac.jp/seishin-kodomo//seishin-kodomo/

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