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地域のインフラとして医療を維持する

地域のインフラとして医療を維持する


院長(いいだ・ひろし)

1987年山口大学医学部卒業。
山口大学医学部附属病院、社会保険(現:JCHO)徳山中央病院、
国立病院機構浜田医療センター救命救急センター部長、同副院長などを経て、
2020年から現職。

 日本海に面した浜田市で、島根県西部の3次救急医療を担う国立病院機構浜田医療センター。9年間副院長として勤務し、2020年4月に院長に就任した飯田博氏に、地域医療への思いを聞いた。

ケアミックスで地域のニーズに応える

 大学では、総合診療部と循環器内科の二足のわらじを履き、救命救急センターにも勤務。その経験を見込まれ、2003年に国立浜田病院(現:浜田医療センター)に着任。同院に新型救命救急センターを開設する大役を担った。

 「母校・山口大学の協力を得て、救急に対応できるスタッフを半年間で育てるという、全くゼロからのスタートでした」と、飯田院長は笑顔で振り返る。

 同センターは県西部の中核病院であり、新型救命救急センターやヘリポート、脳神経外科、心臓血管外科を備え、透析や呼吸器の専門医の診察も可能。「県東部にある大学病院や県立中央病院まで行かなくても、ある程度、この地域で医療が完結する」体制を整えてきた。

 一方、浜田市は高齢化率が3割を超え、完全な治癒や回復が望めない患者の割合が増加。後方病院が不足しているため、同センターは回復期やリハビリ、緩和ケアまで支えるケアミックス型の施設となっている。

 「私自身が繰り返し言われたことですが、研修医には、家族に接するように患者さんに接するよう伝えています。この人が家族だったらと考えると、自然と変わってくると思います」

 地域医療支援病院として、疾病や機能障害のある患者が地域で安心して暮らせるようバックアップする役割も担う。「今後は、行政や医師会との連携を一層深めて、在宅医療の後方支援にも力を入れていきたい」と考えている。

どんな状況でも地域を支える決意を

 2020年3月以降は、県西部の新型コロナウイルス感染症対応にも注力してきた。病棟の構造上ゾーニングができないため、感染症対策として20~30床を確保したことで、4~6月は大幅減収。県西部では8月初旬まで陽性者は確認されていないが「PCR検査や陽性疑い患者の入院対応などで、スタッフの負担が大きい場面は多々あったのではないか」と振り返る。

 スタッフを集めて話をすることも難しい状況の中、国立病院機構内で情報交換を行い、医師会と定期的に呼吸器系、循環器系の疾患について症例検討を実施。質の高い医療を、地域ぐるみで行う努力が続く。

 その根底には、同センターが掲げる「医療を通じて『地域で生きる』を支援する」という理念がある。

次の時代を担う医療人を育てたい

 「元国立病院として、多少収益を度外視してでも重視したい」と考えているのが、次世代を担う人材育成。島根県は、医師確保のため島根大学に地域枠を設け、県内勤務を条件にした奨学金を設立。飯田院長は、国立病院機構の初期臨床医研修会の立ち上げや島根県のレジデントセミナー開催にも尽力した経緯があり、研修医育成には特に思い入れがあると言う。

 「看護学校が併設されていますので、地域で医療職、看護職を目指している方たちを大切に育てたいですね。地域枠や県内定着枠の学生を研修医として受け入れ、地域に根差してもらうことが、将来の医療資源になると思います」。診療看護師や認定看護師の資格取得、女性医師が働きやすい環境づくりも組織としてサポートしている。

 救急体制の維持と働き方改革の両立など、取り組むべき課題は多い。人口減少と高齢化が大きな課題となる社会で、医療を地域のインフラとして維持していくという強い責任感が院長を支えている。

独立行政法人国立病院機構 浜田医療センター
島根県浜田市浅井町777ー12 ☎️0855ー25ー0505(代表)
https://hamada.hosp.go.jp/

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